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更新日:2024.05.27
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情シス業務の属人化とは?原因とリスク、効果的な6つの解決策を紹介

情報システム部門は、社内で扱う情報システムのインフラを支える重要な部門です。

しかし、IT人材の需要の高まりから、情シス部門が人手不足に陥っている会社も少なくありません。そのような状況で特に注意したいのが、情シス業務の「属人化」です。

属人化とは、業務が特定の担当者に集中し、その担当者しか業務内容を把握していない状態のことです。担当者の代わりに業務をこなせる人間がいないため、担当者がいないと業務が停滞してしまうリスクがあります。

「業務が属人化してしまい、情シス担当者の負担が大きくなっている」
「属人化を解消したいが、そのための作業時間が取れない」
「属人化解消のために、なにから手を付けたらいいかわからない」

本記事では、そのような悩みを抱えている方に向けて、属人化への対処法を解説します。情シス業務が属人化してしまう要因、属人化のリスク、具体的な6つの対策を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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情シス業務が属人化する要因

情シス業務が属人化する要因にはどのようなものがあるのでしょうか。

  • 業務過多でドキュメントを作る時間がない
  • 情報共有する仕組みがない
  • 情報システム部門が存在しない
  • 業務内容の専門性が高い

属人化につながる要因を理解することは、属人化の解消・防止につながります。順番に解説しましょう。

業務過多でドキュメントを作る時間がない

情報システム部門は、日々の運用業務に追われ、マニュアル作成などのドキュメント化に時間を割くことが難しいのが実情です。

属人化を防ぐには、業務内容を文書化し、情報を共有することが重要ですが、そのための時間が確保できないことが属人化を助長しています。

例えば、トラブル対応やユーザーサポートに忙殺され、システムの仕様や運用手順をまとめる時間がない状況が考えられます。こうした状況が続くと、担当者の知識や経験が共有されず、属人化が進行します。

情報共有する仕組みがない

情報共有のための仕組みやツールが整っていないことも、属人化の要因の1つです。

例えば、社内ポータルやナレッジ管理システムがない、ドキュメントの保管場所やルールが明確でない、といったケースが考えられます。このような状態では、せっかく作成したドキュメントが活用されません。

また、情報共有の重要性が認識されていないと、ドキュメント化やナレッジ共有の取り組みが社内で浸透しません。情シス部門内でも情報が共有されず、特定の担当者に業務が集中する原因になります。

情報システム部門が存在しない

中小企業など、専任の情報システム部門が存在しない場合も、属人化のリスクが高くなります。他部門の社員が情シス業務を兼務していたり、たった1人の担当者が全てを抱え込んでいたりする状況では、引継ぎや情報共有が難しくなります。

しかし、担当者の退職や休職などの可能性を考えると、マニュアルがないことは大きなリスクです。将来的な人員確保や引継ぎに備えて、早めの対策が不可欠です。

業務内容の専門性が高い

業務内容の難易度が高いことが、属人化を引き起こす要因になりえます。

情報システム部門の業務は、高度な専門性が求められます。ネットワークやサーバーの構築・運用、セキュリティ対策など、一朝一夕では習得できない知識と経験が必要とされるのです。

IT人材が不足している企業では、マニュアル整備が進まない傾向にあります。なぜなら、マニュアルを作っても、業務の難易度が原因で、代わりを務められる人間が見つからないからです。その結果、マニュアル作成の優先度が下がってしまい、ますます属人化が進行してしまいます。

しかし、マニュアルを作成しておかないと、アウトソーシングを利用する際の大きな障壁となります。業務内容がブラックボックス化し、外部の事業者へ引き継ぐことができなくなるからです。

そのため、専門性の高い情シス業務であっても、属人化を防ぐために、業務の「見える化」を図ることが重要です。

情シス業務の属人化が抱えるリスク

情シス業務の属人化が抱えるリスク

情シス業務の属人化が抱えるリスクについて解説します。代表的なリスクは以下の4つです。

  • 業務の遅延と停滞
  • 業務効率と品質の低下
  • 業務負担の増加
  • 担当者の退職によるセキュリティリスクの増加

1つずつ解説しましょう。

業務の遅延と停滞

情シス業務の属人化が進むと、業務プロセスがブラックボックス化し、担当者不在時の対応が難しくなります。特定の担当者しか業務内容を把握していないため、その担当者が休暇や出張で不在の際、業務が滞ってしまうのです。

例えば、システムトラブルが発生した際、対応方法を熟知した担当者がいないと、復旧まで時間がかかってしまいます。特に、サイバー攻撃による情報漏洩などは、放置するほど被害が深刻化するため、属人化が甚大な被害を引き起こす恐れがあるのです。

さらに、担当者の退職時の引継ぎも困難なため、業務が継続できなくなる危険もあります。

業務の属人化はこのようなリスクを抱え続けることになるため、早急な対策が必要なのです。

業務効率と品質の低下

属人化は、業務の非効率化を招き、品質低下のリスクをはらんでいます。

属人化が進むと、担当者ごとに業務のやり方やプロセスにばらつきが出てきます。非効率な業務フローが見過ごされ、ムダな作業が発生する恐れがあるのです。

例えば、システム開発プロジェクトにおいて、担当者ごとに手順や管理方法が異なると、全体の進捗が把握しづらくなります。このようなブラックボックス化は、プロジェクトの遅延や品質低下を招く大きな要因になるでしょう。

属人化を解消し、業務プロセスを可視化・標準化することで、真の意味での生産性向上が可能となります。

業務負担の増加

業務の属人化が進むと、特定の担当者に業務が集中し、過度な負担がかかります。なぜなら、他のメンバーが業務内容を把握していないため、サポートや分担ができないからです。

担当者の疲弊は、ミスの増加や生産性の低下を招き、さらなる負荷につながる悪循環に陥ります。このような状態は、担当者の心身の健康を脅かすだけでなく、人材流出のリスクも高めてしまうでしょう。

担当者の退職によるセキュリティリスクの増加

情シス担当者の退職は、会社にとって大きなセキュリティリスクとなります。しかし、属人化が進んでいる場合、システムの脆弱性や秘密情報の所在を、特定の個人しか把握していないことは少なくありません。

担当者が退職する際、そうした情報が適切に引き継がれなければ、重大な情報漏洩事故につながる恐れがあります。このようなリスクを未然に防ぐには、日頃からセキュリティ対策の状況を文書化し、情報を共有しておくことが重要です。属人化の解消なくして、セキュリティ面の堅牢性は望めないでしょう。


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情シス業務の属人化を解消するための対策6選

ここからは、情シス業務の属人化を解消するための対策を6つ紹介します。属人化に悩んでいる会社や担当者の方は、参考にしてみてください。

  1. 業務プロセスを整理する
  2. 業務内容をシンプルにする
  3. ITツールを活用する
  4. マニュアル作成を業務プロセスに組み込む
  5. 経験ある人材を採用する
  6. アウトソーシングを活用する

それぞれ解説していきます。

1. 業務プロセスを整理する

情シス業務の属人化を解消するには、まず業務プロセスを可視化することが重要です。担当者ごとに行っている作業内容を詳細に洗い出し、業務フロー図を作成しましょう。これにより、業務の全体像を俯瞰できるようになります。

業務の洗い出しでは、作業手順だけでなく、業務に必要な情報やツール、関係部署とのやりとりなど、業務遂行に関わるあらゆる要素を漏れなく整理することが大切です。具体的には、以下のような項目を押さえておきましょう。

  • 業務手順:作業の流れ、担当者の役割、入出力情報など
  • 必要な資料:マニュアル、テンプレート、規制関連文書など
  • 関係部署とのインターフェース:連携方法、承認プロセス、責任範囲など
  • システムとツール:使用するハードウェアとソフトウェア、セキュリティ対策など
  • パフォーマンス指標と評価基準:KPI、品質基準、改善プロセスなど

チェックシートや作業シートを利用することで、漏れなくスムーズに洗い出しが可能になります。

業務プロセスの整理は、時間と手間のかかる作業です。しかし、業務を可視化することで、今後の業務改善やマニュアル作成につなげられる重要なプロセスです。そのため、属人化を目指すなら、最優先で取り組みましょう。

2. 業務内容をシンプルにする

情シス業務の属人化を解消するには、業務内容をシンプルにすることが有効です。具体的には、業務を細かいタスクに分解し、作業手順を明確化することです。

例えば、複雑なシステム運用業務であっても、一連の作業を細分化することで、個々のタスクの難易度を下げられます。手順が明確になることで、業務に不慣れなメンバーでも、スムーズに作業に取り組めるようになるでしょう。

また、タスクを細分化することで、メンバーのスキルや経験に応じた柔軟な作業割り当てが可能になります。単純作業は経験の浅い社員に任せ、専門性の高い作業はベテラン社員が担当するなど、最適な人員配置を実現できます。

業務内容をシンプルにするためには、まず現状の業務プロセスを詳細に分析する必要があります。どの作業が属人化を招いているのか、どの部分が自動化できそうかなど、課題を洗い出しましょう。

3. ITツールを活用する

ITツールの活用は、情シス業務の属人化解消に大きく貢献します。適切なツールを導入することで、情報共有の促進や業務の自動化を図ることができるのです。

例えば、ナレッジ管理ツールやクラウドストレージを導入することで、業務に必要な情報を一元的に管理できるようになります。最新のマニュアルやドキュメントに、誰もがアクセスできる環境を整えることで、属人化のリスクを減らせるでしょう。

また、定型作業の自動化ツールやAI技術を活用することで、特定の担当者への業務集中を防ぐことも可能です。作業の難易度が下がれば、経験の浅いメンバーでも対応しやすくなります。属人化の解消と業務の効率化を同時に実現できるのです。

ただし、ITツールの導入は慎重に進める必要があります。目的を見失った無計画な導入は、かえって業務を複雑化させてしまうおそれがあるのです。

情シス部門の課題を踏まえ、長期的な視点でツール導入の優先順位を決めましょう。業務フローの見直しとも連動させながら、段階的に自動化・効率化を進めることが肝要です。

4. マニュアル作成を業務プロセスに組み込む

属人化を解消するには、マニュアル作成を業務プロセスに組み込み、定期的に更新する仕組みづくりが欠かせません。しかし、日々の業務に追われるなかで、マニュアル作成は後回しにされがちです。

そこで重要なのは、マニュアル作成の目的を明確にし、従業員のモチベーションを高めることです。例えば、属人化の解消による業務効率化や、ナレッジの共有による品質向上など、具体的なメリットを示すことで、マニュアル作成の意義を浸透させましょう。


また、実際にマニュアルを使って作業する機会を設け、マニュアルのレビューを実施するのも効果的です。改善点が明らかになり、より実用的なマニュアルへと進化させることができます。

加えて、マニュアルが実際に使われるための工夫も必要です。作成したマニュアルを使って業務を行い、改善点を洗い出すレビュープロセスを設けるのも効果的でしょう。実践を通じて、マニュアルを磨き上げることで、より実用的な内容へと進化させることができます。

5. 経験ある人材を採用する

情シス業務の属人化解消には、専門知識を持った人材の確保が欠かせません。経験豊富な人材を採用することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 即戦力として、属人化された業務を引き継ぎ、改善を進められる
  • 属人化の解消を見据えた、業務フローの整備やマニュアル作成をリードできる
  • 高度な専門性を要する業務を担当することで、属人化のリスクを軽減できる

特に、情シス業務のマニュアル化や業務改善の経験がある人材は、属人化解消の即効薬となるでしょう。

ただし、IT人材の採用は容易ではありません。計画的に採用活動を進めるとともに、即戦力だけでなく、将来を見据えた人材育成も視野に入れることが重要です。

6. アウトソーシングを活用する

情シス業務の一部または全部を外部委託することで、属人化のリスクを軽減できます。

例えば、定型的な作業や専門性の高い領域を切り出してアウトソーシングすれば、社内の担当者の負担を減らせます。空いたリソースを活用して、ドキュメント化や業務プロセスの整理に注力できるようになるでしょう。

また、委託先の知見を活用して、業務フローの見直しやマニュアル作成を依頼するのも効果的です。第三者の視点から改善案を提示してもらえば、ブラックボックス化した業務の可視化や標準化が進みやすくなります。

委託の際には、アウトソーシング先のサービス内容をしっかり把握しておきましょう。属人化解消や業務整理に対応しているところがおすすめです。

情シス業務の属人化を防ぐにはアウトソーシングがおすすめ

本記事では、情報システム部門の業務属人化について、その要因やリスク、解消のポイントを詳しく解説してきました。情シス部門は、社内のITインフラを支える重要な役割を担っていますが、多くの企業で属人化が進み、様々な問題を引き起こしています。

属人化が常態化すると、業務の停滞や効率低下を招くだけでなく、セキュリティ面でのリスクも高まります。

しかし、属人化への対処は容易ではありません。業務の可視化やマニュアル作成には、専門的な知見が不可欠です。加えて、日々の運用業務に追われる中で、属人化解消の取り組みに十分なリソースを割くことは難しいのが実情です。

そこで、おすすめしたいのがアウトソーシングの活用です。情シス業務の全てまたは一部を外部に委託することで、属人化のリスクを大幅に軽減できます。

「IT顧問 情シス君」は情報システムのお悩みを解決する支援サービスです。あらゆる情シス業務に対応可能。経験豊富なスタッフが業務を代行します。

加えて、属人化の解決も支援しています。属人化した業務の調査を実施し、業務内容を網羅した詳細なドキュメントを作成します。さらに、属人化しにくい業務体制の構築や、業務改善も可能です。

また、IT体制を整えたい、情シス部門を立ち上げたいといった戦略レベルの課題もおまかせください。専門のコンサルタントが、課題解決のソリューションを提供いたします。

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