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更新日:2024.07.25
ヘルプデスク

ヘルプデスクとは?設置するメリットや業務内容、運用の注意点を解説

ヘルプデスクは、企業のIT運用や顧客サポートにおいて重要な役割を果たします。適切に設置・運用することで、業務効率の向上や顧客満足度の改善など、多くのメリットがあります。

しかし、ヘルプデスクの設置には適切な準備と運用体制が必要です。人材の確保や育成、システムの導入、業務プロセスの確立など、考慮すべき点が多くあります。

「ヘルプデスクを設置したいが、立ち上げまでの手順を知りたい」
「ヘルプデスクを設置するメリットが知りたい」

このようにお悩みを持つ方に、この記事ではヘルプデスクの基本的な役割から設置のメリット、具体的な業務内容、運用上の注意点までを詳しく解説します。ヘルプデスクの設置を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

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ヘルプデスクとは

ヘルプデスクは、クライアントや社内からの問い合わせに対応する窓口です。主にIT関連の問い合わせ対応やシステム管理を担当します。

主な業務内容は以下の通りです。

  • パソコンに関する問い合わせ対応
  • 社内システムに関する問い合わせ対応
  • システムやソフトウェアの導入・管理
  • FAQやマニュアル作成

これらの業務を通じて、ヘルプデスクは社内の業務効率化と顧客満足度の向上に大きく貢献します。迅速かつ的確な問題解決を提供することで、社員の生産性を高め、顧客との信頼関係を強化することが可能です。

コールセンターとの違い

ヘルプデスクと混同されやすい窓口の1つがコールセンターです。

ヘルプデスクは問い合わせに対する課題解決が主な役割です。自部署で解決できない場合は、適切な部署へのエスカレーションも実施します。

一方、コールセンターは問い合わせ対応に加え、顧客への営業活動も行います。テレアポやテレマーケティングを活用し、新規契約獲得を目指します。この点が、ヘルプデスクとの大きな違いといえるでしょう。

日本コールセンター協会では、コールセンターを「顧客や消費者のインバウンドやアウトバウンドの電話応対を行う拠点・窓口のこと」と定義しています。

サービスデスクとの違い

ヘルプデスクとサービスデスクは似た役割を持っていますが、対応する課題の範囲と深さに違いがあります。

ヘルプデスクは主にIT関連の問い合わせに特化し、技術的な問題に深く対応します。コンピューター、ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなどの専門的なトラブルに対処するのが特徴です。

一方、サービスデスクは企業の基幹的な総合窓口として機能します。ITサポートだけでなく、商品やサービスの説明、契約内容の確認、顧客満足度調査など、幅広いニーズに対応します。

加えて、顧客への新規のサービスの提案といった能動的な情報発信も、サービスデスクの特徴です。

ヘルプデスクを設置するメリット

ヘルプデスクの設置は、企業にとって多くの利点をもたらします。以下では、主要な3つのメリットについて詳しく解説します。

  • 円滑な業務の支援
  • 顧客満足度の向上
  • ノウハウの蓄積

これらのメリットを理解することで、ヘルプデスク設置の重要性がより明確になるでしょう。

円滑な業務の支援

ヘルプデスクの設置により、企業全体の業務が円滑になります。

自社にヘルプデスクがない場合、各部署がIT関連の問い合わせに直接対応しなければなりません。問い合わせ対応にリソースが割かれると、コア業務が滞る可能性があります。

ヘルプデスクを設置することで、これらの問い合わせを1つの窓口に集約できます。これにより、各部署の社員は本来の業務に集中でき、企業全体の生産性向上が期待できるのです。

顧客満足度の向上

ヘルプデスクの設置は、顧客満足度の向上に大きく貢献します。その主な理由は2つです。

1つ目は、迅速かつ適切な顧客対応が可能になるからです。専門知識を持つスタッフが一元化された窓口で対応することで、顧客の問題を効率的に解決できます。顧客の悩みを素早く解決することで、顧客満足度の向上が期待できます。

2つ目は、お客様の声を直接拾い上げられるからです。ヘルプデスクに寄せられる相談は、顧客の率直な意見や要望そのものです。ヘルプデスクを通じてこのような生の声を集め、営業やマーケティング活動、商品開発など様々な分野に活かすことができます。

このように、ヘルプデスクは問題解決だけでなく、顧客との重要な接点として企業の成長を支える役割を果たします。

ノウハウの蓄積

ヘルプデスクに問い合わせを集約することで、ITやシステムに関わる問題解決のノウハウが効率的に蓄積されます。蓄積されたノウハウにより、類似の課題に対して迅速かつ的確な対応が可能になります。

これは顧客満足度の向上だけでなく、業務効率の改善にも活用可能です例えば、頻出する問題に対する標準的な解決手順を確立することで、対応時間の短縮や品質の均一化が図れるでしょう。

ヘルプデスクの業務内容

ここでは、ヘルプデスクの主な業務内容を紹介します。

  • コール・アラート受付
  • デバイスに関する問い合わせ対応
  • 業務システムの利用サポート
  • ネットワーク・サーバーの監視
  • ドキュメント作成

それぞれ簡単に解説していきます。

コール・アラート受付

ユーザーからの問い合わせやトラブル報告に対応し、解決方法を提示します。受付方法は電話、メール、チャットなど様々です。

コール・アラート受付は、迅速かつ適切な対応が求められます。

デバイスに関する問い合わせ対応

​パソコンやスマートフォン、タブレット、プリンターなど、主にデバイスに関する使い方やトラブル解決をサポートする業務です。

問題解決には、幅広いデバイスの知識が必要となるため、ヘルプデスクスタッフは常に最新の技術動向を把握し、スキルアップを図る必要があります。

業務システムの利用サポート

社内で使用される様々な業務システムの運用支援や、利用時のトラブルシューティングを担当します。代表的な業務システムとしては、ERPシステム、顧客管理システム、勤怠管理システムなどが挙げられます。

効果的なサポートを実施するには、システムの技術的な知識だけでなく、各部門の業務フローや企業特有のプロセスについての理解も必要です。

ネットワーク・サーバーの監視

自社のネットワークインフラやサーバーの状態を常時監視し、異常やトラブルの早期発見・対応に努めます。

具体的には、ネットワークトラフィック、サーバーの負荷状況、セキュリティ脅威などを監視します。

異常を検知した場合は、即座に対応策を講じなければなりません。対応が難しい場合は、他部署へのエスカレーションを実施します。

迅速な対応により、システムダウンや情報漏洩などの深刻な問題を未然に防げます。

ドキュメント作成

問い合わせ対応の中で得た知見を基に、業務効率化のためのドキュメントを作成します。

主な成果物としては、よくある問い合わせをまとめたFAQや、ユーザーの自己解決を促すマニュアルが挙げられます。これらのドキュメントをWebサイトなどで公開することで、問い合わせ数の減少が期待できるでしょう。

さらに、業務で得た知識をドキュメント化することで、ヘルプデスク業務の属人化を防ぐ効果もあります。個人の経験や暗黙知を形式知化し、チーム全体で共有することで、サポート品質の均一化と向上が図れます。

ヘルプデスク構築・運用に必要なもの

ヘルプデスクの構築と運用には、以下の4つが必要です。

  • 人材
  • 環境・設備
  • ルール・ナレッジ
  • 支援ツール

これらをすべて準備することは容易ではありませんが、アウトソーシングに頼ることで負担を軽減できます。また、コンサルティングも提供しているサービスを選べば、ヘルプデスクの導入支援も受けられるでしょう。

人材

ヘルプデスクの円滑な運営には、業務を十分に遂行できる人材が不可欠です。

ヘルプデスク担当者には、製品やサービスに関する深い理解だけでなく、高い問題解決能力とコミュニケーションスキルも求められます。

人材の獲得方法としては、新規雇用や従業員の教育、アウトソーシングなどが代表的です。また、新規獲得以外にも、労務や開発エンジニアがヘルプデスクを兼任するという選択肢もあります。ただし、業務負担の増大により、コア業務に集中できなくなる可能性に注意しましょう。

自社のリソース状況に合わせた、最適な方法を検討しましょう。

環境・設備

ヘルプデスクとして効果的に対応するには、適切な環境や設備の整備が不可欠です。具体的には以下の通りです。

ハードウェア:

  • コンピューター
  • 電話システム
  • ヘッドセット

ネットワークインフラ:

  • 高速インターネット回線
  • 電話回線

必要な設備を用意し、環境を整えることで、スムーズな問い合わせ対応が可能になります。

ルール・ナレッジ

ルールやナレッジの共有は業務品質の向上、業務の効率化に不可欠です。

ルールとは、問い合わせ対応に必要な手順や決まりごとを指します。例えば、マニュアル、エスカレーションプロセス、優先度設定基準などがこれに該当します。

一方、ナレッジは問い合わせを解決するための知識やノウハウを意味します。ナレッジには、製品情報、トラブル対応手順、過去の事例などが含まれます。

ルールとナレッジを体系的に整理し、スタッフ間で共有することが大切です。定期的な更新と改善を実施することで、ヘルプデスクの対応品質を継続的に向上させられるでしょう。

支援ツール

ヘルプデスクの効率的かつ効果的な運用には、適切な支援ツールの活用が不可欠です。ヘルプデスクツールは、以下のような機能でヘルプデスク業務を支援します。

機能内容
チケット管理システム問い合わせの追跡、対応状況の管理
問い合わせ管理顧客からの問い合わせの一元管理
顧客管理機能顧客情報の管理、関係性の把握
チャットボット自動応答による初期対応の効率化
ナレッジベースFAQ や解決策の蓄積・共有
遠隔サポートツール画面共有、遠隔操作によるサポート
レポーティングツールパフォーマンス分析、傾向把握

これらの機能を備えたヘルプデスクツールを導入することで、業務の効率化と顧客満足度の向上が期待できます。適切なツールを選択することで、ヘルプデスクの生産性と対応品質を大幅に向上させられるでしょう。

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ヘルプデスクの年収・キャリアパス

ヘルプデスクの設置において、適正な人材の確保は非常に重要です。効果的な採用活動と人材育成のために、ヘルプデスク職の市場動向や将来性について理解しておくことが大切です。

ここでは、ヘルプデスクの平均年収と、キャリアパスについて解説します。

ヘルプデスクの平均年収

職業情報提供サイトjobtagが公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、ヘルプデスクの平均年収は558.3万となっています。

ヘルプデスクはIT分野の知識が必要なため、一般的な事務職と比較して年収はやや高めです。

ヘルプデスクのキャリアパス

ヘルプデスクで培った経験は、IT業界での様々なキャリアパスにつながります。例えば、以下のような選択肢があります。

  • テクニカルサポートエンジニア(トラブルシューティングスキルを活かす)
  • インフラエンジニア、ネットワークエンジニア(システム運用の知識を活かす)
  • 社内SE(幅広いIT知識を活かす)

このような将来性を示すことで、優秀な人材の採用や、従業員のモチベーション維持につながります。また、社内でのキャリアアップの道筋を明確にすることで、長期的な人材育成が可能になるでしょう。

ヘルプデスクスタッフに求められるスキル

効果的なヘルプデスク運営のためには、適切なスキルを持つスタッフの採用が不可欠です。具体的には、以下のものが求められます。

  • コミュニケーション能力
  • パソコンの基本操作スキル
  • システムに関する知識とノウハウ

順番に解説していきましょう。

コミュニケーション能力

ヘルプデスク業務には、コミュニケーション能力が欠かせません。

スタッフは日々、様々なチャネル(メール、電話、チャットなど)を通じて多くのユーザーの応対をします。そこで重要になるのが、相手の要望を正確に理解し、わかりやすく回答する能力です。

そのため、一般的な職種以上に高度なコミュニケーションスキルが要求されます。

パソコンの基本操作スキル

ヘルプデスク業務は多岐にわたりますが、すべてにおいてパソコン操作が基本となります。そのため、パソコンの基本操作スキルは必須条件です。

具体的には、スムーズなタイピング能力に加え、管理ソフトやExcel、Wordなどのオフィスソフトの基本操作ができることが求められます。

未経験者の採用も可能ですが、その場合は教育コストを考慮に入れる必要があります。

システムに関する知識とノウハウ

ヘルプデスクスタッフには、サポート対象となるシステムや製品に関する深い理解が求められます。この知識は、効果的な問題解決と顧客満足度の向上に直結します。

ただし、すべての知識を採用時点で持っている必要はありません。重要なのは、新しい技術やシステムを学ぶ意欲と能力です。継続的な学習と成長を促す環境づくりも、経営者としての重要な役割となります。

これらのスキルを基準に人材を採用し、さらに社内で育成していくことで、高品質なヘルプデスクサービスの提供が可能になります。

ヘルプデスクを設置するうえでの注意点

ここからは、ヘルプデスクを設置するうえでの注意点を解説します。

  • 対応チャネルを限定しない
  • 計画的に採用活動・人材育成を実施する
  • 応対品質を均一にするよう努める
  • サポート時間帯はニーズに合わせる

これからヘルプデスクの設置を検討している企業担当者の方は、参考にしてみてください。

対応チャネルを限定しない

ユーザーの利便性を考慮し、対応チャネルを限定しすぎないことが重要です。電話、メール、チャットなど、複数のチャネルを用意することで、ユーザーの好みや状況に合わせた問い合わせが可能になります。

また、チャットボットの導入もおすすめです。チャットボットにより、24時間365日の対応が可能となるだけでなく、オペレーターの工数削減にもつながります。

採用・人材育成の方法を考える

ヘルプデスクの安定した運営には、計画的な採用活動と人材育成が重要です。長期的な視点での採用計画を立て、十分な余裕を持ってスケジュールを組むことが求められます。

採用後は、継続的なトレーニングプログラムを用意し、スキルアップの機会を提供することが大切です。これにより、サービス品質の向上と従業員の定着率向上が期待できます。

また、アウトソーシングも有効な選択肢です。アウトソーシングを活用することで、足りない人的リソースを短期間で確保できます。また、専門知識を持つプロフェッショナルが業務にあたるため、初期段階での品質確保にも役立ちます。

自社での人材育成とアウトソーシングを適切に組み合わせることで、柔軟かつ効果的なヘルプデスク運営が可能になるでしょう。企業の規模や状況に応じて、最適な方法を選択することが重要です。

応対品質を均一にするよう努める

ヘルプデスクの設置直後は、オペレーター間で対応品質にばらつきが生じやすくなります。これは、運営ノウハウやナレッジの蓄積が不十分で、必要な情報の入手や手順の理解に時間がかかるためです。

対応品質のばらつきは顧客満足度や、従業員の生産性の低下につながるため、早急な対策が必要です。具体的には以下の方法が効果的です。

  • マニュアルや手順書などのドキュメント化を進める
  • 標準的な業務フローを確立し、全スタッフに周知する
  • 定期的な研修やロールプレイングを実施し、スキルの均一化を図る

自社でこれらの対応が難しい場合は、外部のコンサルティング会社を利用したり、一部の業務をアウトソーシング企業に委託したりする方法も検討しましょう。

サポート時間帯はニーズに合わせる

ヘルプデスクの受付時間は、顧客のニーズに合わせて柔軟に設定することが重要です。業種やシステムの特性によっては、休日や早朝、深夜などのサポートが必要になる場合もあります。

理想的には24時間365日の対応が望ましいですが、自社リソースだけでは実現が難しいケースも多いでしょう。そのような場合は、以下の対策を検討してみてください。

  • 優先度の高い問い合わせのみ時間外対応をおこなう
  • チャットボットやFAQの充実により、簡単な問い合わせは自動対応する
  • アウトソーシングサービスを活用し、時間外対応を委託する

これらの方策を組み合わせることで、コストを抑えつつ顧客ニーズに応えるヘルプデスク運用が可能になります。

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