ITサポートは企業内のIT環境を維持し、効率的かつ安全に業務を進めるために重要な役割を担います。ITサポートを設置することで、トラブルの迅速な対応や社員の生産性向上が期待でき、安定したITインフラの維持が可能になります。
「ITサポートの重要性は理解しているが、実際にどのような業務があるのか知りたい」
「ITサポートの設置を検討しているが、自社に体制構築のノウハウがない」
「そもそもITサポートは本当に必要?」
このような疑問に応えるため、本記事ではITサポートの業務内容、設置のメリット、内製時の課題などを詳しく解説します。さらに、適正な人材や年収・キャリアパスについても触れ、自社にとっての最適なITサポート体制を見極めるための参考としてご活用ください。
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目次
ITサポートとは?
ITサポートは、企業内のIT環境を整備し、日々の業務を支える重要な役割を果たします。システムや機器のトラブルを防ぎ、スムーズに業務が進行するよう支援することが主な目的です。
具体的な業務には、PCやソフトウェアのセットアップ、社員からのITに関する問い合わせ対応が含まれます。また、社内にITサポート専任の担当者や部門を設けるケースや、外部に委託して管理するケースもあります。
ITサポート体制を構築することで、IT環境を安定させ、社員が本来の業務に集中できる環境を作ることが可能です。
ITサポートの業務内容
ここでは、ITサポートの代表的な業務を説明します。具体的には以下の4つです。
- ヘルプデスク
- システムの管理
- システムトラブルの対応
- IT資産の管理
これらの業務を通じて、ITサポートは社内のIT環境を安定させ、日々の業務が滞りなく進行できるよう支援します。各業務を順に説明します。
ヘルプデスク
ヘルプデスクは、社員が日々の業務で使用するパソコンやアプリケーションに関する問題をサポートする窓口です。例えば「ソフトが正常に動かない」「パスワードを忘れた」「プリンタがつながらない」といった問題に、電話やメール、チャットを通じて対応します。
ITの知識があまりない社員にとっても理解しやすい言葉で説明し、業務の中断を最小限に抑えることが求められます。
システムの管理
システム管理業務では、ITシステムの安定稼働を支えるため、定期的なメンテナンスやパフォーマンスの監視を実施します。
サーバーやクラウドサービスの状態をチェックし、パフォーマンスの確認やソフトウェアライセンスの更新手続きを実施します。このような業務を通じて、社員が快適にITシステムを利用できる環境を維持します。
システムトラブルの対応
システムトラブル対応もITサポートの重要な業務です。トラブル発生時には、事象の調査、原因の特定をおこない、問題の解決に努めます。
社内での解決が困難な場合は、システム開発元やメーカーと連携し、専門的な対応を実施。さらに、トラブル情報を記録・分析し、再発防止策の立案にも役立てます。
IT資産の管理
IT資産管理は、パソコンやタブレット、ソフトウェアなど、自社が保有するIT関連の資産を管理する業務です。「どの機器がどこにあるか」「誰が使っているか」「どのソフトウェアがインストールされているか」といった内容を把握して管理します。
IT資産の管理は、セキュリティ対策やコンプライアンス遵守のために欠かせない業務です。また、IT資産を適切に管理することで、企業全体の生産性向上にもつながります。
ITサポートを社内に設置するメリット
ITサポートを社内に設置することで様々なメリットを得られます。具体的には以下の4つです。
- 生産性の向上
- 社内知識の蓄積と活用
- セキュリティの強化
- 社内のITリテラシー向上
それぞれについて、順番に解説しましょう
生産性の向上
ITサポートが迅速にIT関連の問題に対応することで、従業員は技術的なトラブルに時間を取られることなく本来の業務に集中でき、生産性が向上します。
また、システムのダウンタイムを最小限に抑えることで、業務の遅延や停止が減り、組織全体の効率が改善され、スムーズな業務運営が実現します。
社内知識の蓄積と活用
全ての問い合わせとその解決策をITサポートに集約することで、包括的なナレッジベースを作成することが可能です。
ナレッジベースを活用することにより、過去の問題や解決策を迅速に参照できるため、同様の問題が発生した際にはスムーズに対応できます。
さらに、頻繁に発生する問題に対しては予防的な対策や改善策を講じることで、問題の再発を防ぎ、業務効率を高められます。
セキュリティの強化
ITサポート部門がセキュリティポリシーに基づいて行動することで、一貫した対応が可能になります。全社員が同じセキュリティ基準で行動できるようになるため、リスク低減につながります。
また、ITサポートはインシデントに対し、迅速な対応が可能です。加えて、インシデントの分析をもとに、予防策を講じることもできます。これにより、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを軽減し、企業のIT環境をより安全に保てます。
社内のITリテラシー向上
日常的なITサポートを通じて、従業員全体のITスキルが向上します。ITサポート部門は、社員が日々直面するIT関連の問題に対して迅速に対応し、その都度解決方法を提供します。これにより、社員はITツールやシステムを使いこなすスキルを自然と習得することが可能です。
さらに、定期的な研修やITリソース(マニュアルやFAQ)の提供により、社員は新しいITツールやシステムを学び、自己解決力を高められます。
これらの取り組みを通じて、全社員のITリテラシーが向上し、業務の効率化にも繋がります。
ITサポートの年収・キャリアパス
ITサポートを社内に設置するには、適正な人材を確保することが重要です。
以下では、ITサポートの「平均年収」と「キャリアパス」について、それぞれ詳しく解説します。
ITサポートの平均年収
ITサポートの平均年収は400万円前後です。ただし、ITサポートといってもその業務内容や求められるスキルにより年収には幅があります。
たとえば、ヘルプデスク業務のみを担当する場合と、システム復旧や高度な技術サポートまで対応する場合では、報酬にも違いが生じます。能力や経験によっては500万円以上の年収が提示されるケースも珍しくありません。
このように、ITサポートの年収は一概には決まりませんが、ITの専門知識を求められるため、一般的な事務職に比べて高めになる傾向があります。
ITサポートのキャリアパス
ITサポートのキャリアパスは多様で、ITに関する知識やスキルを活かせる選択肢が豊富にあります。以下は、ITサポート職から進めるキャリアの一例です。
- スーパーバイザー:チームメンバーの管理、指導、育成をおこない、サポート体制全体を統括。
- プログラマー:システム開発やプログラミングを担当し、ソフトウェアやアプリケーションの改修や改善を実施。
- インフラエンジニア:ネットワークやサーバーといったIT基盤の設計・運用を担い、システムの安定稼働を支える。
- システムエンジニア:ITシステム全般の設計や構築に従事し、企業のIT環境を最適化。
ITサポート職での経験を活かし、得意分野や興味に応じて専門性を高めたキャリアパスを選択することが可能です。
ITサポートスタッフに求められるスキル
ここからは、ITサポートスタッフに求められるスキルを解説します。ITサポートスタッフが業務を遂行するために重要なスキルは、以下の3つです。
- コミュニケーションスキル
- 課題解決力
- システムに関する知識・ノウハウ
コミュニケーションスキル
ITサポートスタッフには、優れたコミュニケーションスキルが求められます。
特にヘルプデスク業務では、チャットや電話を通じて社内外のユーザーとリアルタイムでやり取りをする必要があります。そのため、問題を正確に理解し、解決策をわかりやすく伝える能力が必要です。
また、専門用語を使いすぎず、一般ユーザーにも理解しやすい表現で説明する柔軟性も欠かせません。
課題解決力
ITサポートスタッフには、トラブル発生時に冷静に状況を把握し、迅速に対応策を見つけ出す課題解決力が求められます。ユーザーの不安や業務の停滞を最小限に抑えるために、柔軟な判断力と的確な対処が欠かせません。
また、トラブル対応の経験を重ねることで、予測しにくい問題にも適応しやすくなり、こうしたスキルはサポートの信頼性向上に貢献します。そのため、問題に前向きに取り組む姿勢や学び続ける意欲も重要です。
システムに関する知識・ノウハウ
ITサポートスタッフには、扱うシステムや製品に関する知識とノウハウが必要です。単に製品の基本的な操作方法を知っているだけでなく、関連するサービスや業務フロー、システムの細かい仕様まで把握していることが求められます。
システムやサービスは絶えず変化するので、環境の変化に合わせて、必要な情報を積極的に習得する意欲も重要な要素です。
ITサポートで役立つ資格
ITサポートで役立つ資格を3つご紹介します。
- MOS認定
- ITパスポート試験
- 基本情報技術者試験
これらの資格は必須ではありませんが、ITに関する基礎的な知識を身につけるために有用です。資格取得を通じて学ぶ内容は、新しい業務に取り組む際の土台となり、業務習得をスムーズにします。
また、未取得のスタッフにも資格取得を奨励することで、チーム全体のスキル向上と日々の業務効率の改善にもつながります。
MOS認定
MOS認定とは「Microsoft Office Specialist」の略。Microsoft Officeアプリケーション(Word、Excel、PowerPointなど)を使いこなせることを証明する国際資格です。
ITサポート業務では、Excelでのデータ管理やWordでのマニュアル作成などで、MOS認定で身につけた知識が役に立つでしょう。また、社員からのOfficeソフトに関する問い合わせに対応する際にも、知識を活かした適切な対応が可能になります。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、ITの基礎知識を身につけるための国家試験です。情報セキュリティ、システムの基礎に加え、経営やプロジェクトマネジメントなど、幅広い領域をカバーしています。
そのため、ITパスポートの取得は、IT業務に直接関わらない社員にも推奨され、多くの企業が新入社員や若手社員の研修の一環として取り入れています。ITパスポートは社会人としてのITリテラシーを高めるために有用な資格といえるでしょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの基礎的なスキルを証明する国家資格です。ソフトウェア開発、ネットワーク、データベースに加え、情報セキュリティの基本知識を身につけられます。
この資格は、ITサポート業務においても、技術的な知識を必要とする場面で非常に役立ちます。例えば、トラブル発生時の迅速な原因特定や、問い合わせへの適切な回答を提供するうえで有用です。
社内でITサポートを実施する際の課題
社内でITサポートを設置する際には、いくつかの課題に直面する可能性があります。具体的には以下の4つです。
- IT人材の確保が難しい
- 休職・退職で業務が停滞する可能性がある
- 深刻なトラブルに対応できない恐れがある
- 体制構築にはノウハウが求められる
それぞれの課題について、順番に解説します。
IT人材の確保が難しい
(出典:DX白書2023|IPA情報処理推進機構)
ビジネスのIT化が進みIT人材の需要が高まる一方、人材の確保は困難になっています。
IPA情報処理推進機構の調査によれば、IT人材が「やや不足している」「大幅に不足している」と感じている企業は、量・質ともに7割を超えています。
特に、中小企業では採用予算が限られていることから、大手企業との競争により人材確保がさらに困難です。そのため、ITサポート体制を確保したくても人材不足で実現できないケースや、トラブル時の迅速な対応に影響を及ぼすリスクが懸念されます。
休職・退職で業務が停滞する可能性がある
社内でITサポートを設置する場合、人材不足の影響でどうしても少人数体制になりがちです。そのため、担当のITサポートスタッフが急な休職や退職をした場合には、業務が一時的に停滞してしまうリスクがあります。
サポート業務は毎日求められるものであるため、空白期間ができると他の業務にも支障をきたす可能性が高まります。
特に小規模なチームで運営している場合、たった一人の欠員でも対応力が大きく低下するため、業務全体への影響が避けられません。その結果、サポートを待つ他の社員の業務も滞り、最悪の場合、企業全体の生産性に影響を及ぼす可能性があります。
深刻なトラブルに対応できない恐れがある
担当者のスキルが不足している場合、深刻なトラブルが発生した際に適切な対応ができないリスクがあります。
たとえば、ウイルス感染やサーバーダウンといった重大な問題では、迅速で高度な対応が求められますが、これには専門的な知識と経験が必要です。社内に十分なスキルを持つスタッフがいない場合、対応が遅れることで業務に大きな支障をきたす可能性があります。
特にサイバー攻撃によるシステム障害などでは、セキュリティ対応の不足がさらなるリスクを招きかねません。
こうしたリスクに備えるためには、スキルの高い人材を採用するか、外部の専門会社と連携することが効果的です。
体制構築にはノウハウが求められる
社内にITサポートを設置するためには、人材管理、サポート環境の整備、専用ツールの導入など、多岐にわたるノウハウが必要です。
こうしたノウハウが社内になければ、自社のみでITサポートを構築するのが難しく、結果としてサポート体制の不備が生じやすくなります。そのような場合は、外部のコンサルティングサービスの活用を検討するなどの対策が求められます。
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ITサポートをアウトソーシングするメリット
「ITサポートの人材を確保することが難しい」「自社に体制構築のノウハウがない」といった場合には、アウトソーシングを検討してみましょう。
アウトソーシングには、以下のようなメリットがあります。
- 情シス担当者の負担を軽減できる
- 問題を素早く解決できる
- 社内リソースを最適化できる
- コストを可視化できる
- ITサポート立ち上げを支援してくれる
それぞれ見ていきましょう。
情シス担当者の負担を軽減できる
ITサポートをアウトソーシングする大きなメリットは、情シス担当者の負担を軽減できることです。
多くの企業では、ITサポート業務を情報システム部門(情シス)が担っていますが、情シスは慢性的な人手不足に悩まされがちです。そのため、過度な負担やストレス、労働環境の問題から、担当者が心身ともに疲弊することも珍しくありません。
アウトソーシングを活用することで、担当者の負担を軽減できます。これにより、業務の効率化が進み、担当者の健康管理やワークライフバランスも改善されます。
問題を素早く解決できる
アウトソーシングのもう一つの大きなメリットは、問題解決のスピードです。
アウトソーシング企業には、経験豊富なスタッフが揃っており、社内では対応が難しい技術的なトラブルにも迅速に対応できます。たとえば、ウイルス感染やサーバーダウンといった深刻なトラブルでも、専門的なノウハウとリソースを活かして早期解決が可能です。
これにより、ダウンタイムの短縮やビジネスの継続性が確保され、企業全体の生産性向上に寄与します。
社内リソースを最適化できる
ITサポートをアウトソーシングすることで、社内リソースを本来の業務に集中させることが可能です。
IT担当者がサポート業務に追われると、効率化やセキュリティ対策などのコア業務が疎かになることがあります。サポート業務を外部に委託することで、IT担当者が重要なプロジェクトに専念でき、結果として企業全体の生産性や業務効率が向上します。
このリソース最適化は、特に限られた人材で運営する中小企業にとって大きなメリットです。
コストを可視化できる
ITサポートをアウトソーシングすることで、コストの可視化が容易になります。アウトソーシングでは、サービス内容や工数の報告を通じて、何にどれだけのコストがかかっているかが明確になり、予算計画を立てやすくなります。
また、時間制の料金体系では利用時間分のみ料金が発生するので、コストの最適化が可能です。このようにコストの流動性と透明性が高まることで、経営資源をより効果的に活用できます。
ITサポート立ち上げを支援してくれる
アウトソーシング会社の中には、ITサポート体制の立ち上げを支援するコンサルティングサービスを提供しているところもあります。
ノウハウ不足でITサポートを立ち上げられない場合、専門家による体制構築サポートは大きな利点です。外部の専門家の力を借りることで、スムーズな導入と運用が可能となり、自社にITサポートの基盤を作り上げるための手助けとなります。
ITサポートの設置なら情シス君へご相談を
ITサポートについて、業務内容や設置のメリット、社内でITサポートを実施する場合の課題などを解説しました。
ITサポートは、社内の業務を円滑に進め、生産性向上に大きく寄与します。しかし、IT環境の管理やヘルプデスク対応などの多岐にわたる業務が必要であり、負担が大きくなると自社のみで対応が難しくなる場合もあります。
「IT顧問 情シス君」は、企業の規模やIT環境に応じて、ITサポートの立ち上げから運用までをまるごと支援いたします。また、内製化支援サービスも行っており、社内でのIT運用体制を構築しながら、必要に応じて外部サポートを受けられる柔軟な体制を整えられます。
さらに、情シス君はセキュリティ対策、キッティング、IT資産管理など、情シス業務全般をカバーできるため、幅広い業務の代行が可能です。お客様のリソースに合わせてサービスをカスタマイズし、24時間365日のサポート体制で、企業のIT課題をしっかりと支援します。
ITサポート体制を構築したいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。