「SaaSや端末が増え、Excelの台帳では管理が追いつかなくなってきた…」
情シスの管理ツールを調べ始めたものの、種類が多くて比較の軸が定まらない方も多いでしょう。
管理ツールと一口にいっても、IT資産管理やSaaS管理など、管理する対象によって種類はさまざまです。
本記事では、情シスが使う管理ツール8種類の役割と代表製品24選、選び方と導入の手順を解説します。
自社に必要なツールを見極める判断材料としてお役立てください。
情シスの管理ツール選びでお悩みなら「情シス君」
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「管理ツールを入れたいが、自社に合う製品を判断できない」
「導入しても、日々の運用まで手が回るか不安だ」
管理ツールの効果は、管理する対象とルールを決めた時点から表れ始めます。
「IT顧問 情シス君」は、IT資産管理やSaaS管理、セキュリティまで幅広い領域が支援の対象です。
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管理ツールとは
管理ツールを選ぶ前に、ツールが担う役割と管理する対象の全体像を押さえておきましょう。
全体像が見えると、自社に足りない管理がどこにあるかを判断しやすくなります。
管理ツールが担う役割
情シスの管理ツールとは、社内のIT環境を把握し、決めたルールどおりに保つためのツールの総称です。
端末やソフトウェア、SaaS(インターネット経由で使う業務ソフト)などの情報を集めて、一か所で管理できるようにします。
業務効率化ツールの目的は、作業の手間を減らすことです。
管理ツールは、IT環境の状態を見える化し、ルールから外れた状態に気づけるようにするものといえます。
誰が何を使っているかを正しく把握できれば、情報漏えいの予防や費用の見直しにもつながるでしょう。
対象別に使うツール
情シスが管理する対象は、大きく4つの領域に分けられます。
領域ごとに、主に使うツールの種類と解決できる課題を整理しました。

| 管理領域 | ツールの種類 | 解決できる課題 |
|---|---|---|
| 端末 | IT資産管理ツール | PCやソフトウェアの台帳が古いまま、ライセンスの過不足がわからない |
| 端末 | MDM(モバイル端末の管理ツール) | スマートフォンの設定がそろわない、紛失時に遠隔で対処できない |
| アカウント | ID管理ツール | サービスごとにパスワードが増える、退職者のアカウントが残る |
| アカウント | SaaS管理ツール | 契約中のSaaSと費用を把握できない、申請外の利用に気づけない |
| 問い合わせ対応 | ヘルプデスク管理ツール | 問い合わせの対応状況や履歴が担当者の間で共有されない |
| 問い合わせ対応 | ナレッジ管理ツール | 同じ質問が何度も届く、手順書が散らばっている |
| システム監視 | 監視ツール | サーバーやネットワーク機器の停止に気づくのが遅れる |
| システム監視 | EDR(端末の不審な挙動を検知するツール) | ウイルス対策ソフトをすり抜けた攻撃に気づけない |
すべての種類を一度にそろえる必要はなく、課題の大きい領域から順に整えれば十分です。
導入する順番の決め方は、後半の「導入を進める手順」で解説します。
管理ツールが必要になった背景
管理ツールが求められる背景には、社内のIT環境の変化があります。
主な変化は次の5つです。
- クラウドサービスの利用拡大
総務省の調査では、クラウドサービスを一部でも利用する企業が83.5%に達しました(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」2026年5月)。 - 社外で使う端末の増加
同じ調査では、テレワークを導入する企業が50.1%となり、社外で使う端末の設定や所在を把握しにくくなっています。 - 生成AIの利用をめぐるリスク
情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威」組織編では、AIの利用をめぐるサイバーリスクが3位に入りました(出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」2026年1月)。 - 担当者の不足と属人化
少人数の情シスでは、台帳の更新が担当者の記憶や手作業に頼りがちです。 - 取引先から求められる管理水準
企業の対策を段階で評価するセキュリティ対策評価制度では、機器やアカウントの管理状況が評価の項目に含まれています。
手作業の台帳だけでは、変化の速さに追いつくのが難しくなっているといえるでしょう。
Excel管理と比べた利点
Excelの台帳は手軽に始められる反面、更新を人の手に頼る点が弱みです。
担当者が忙しい時期ほど記録が後回しになり、台帳と実態の差が広がっていきます。
管理ツールは端末やサービスから情報を自動で集めるため、台帳を新しい状態に保ちやすいのが特徴です。
担当者が交代しても、画面を開けば同じ情報にたどり着けるでしょう。
導入によって得られる主な効果は、次のとおりです。
- 作業時間の削減
台帳の更新や棚卸しにかかる手作業が減ります。 - 不要な契約の削減
使われていないライセンスやSaaSの契約を見つけやすくなります。 - 情報漏えいの予防
退職者のアカウントや設定の漏れを早い段階で見つけられます。 - 監査や取引先への説明
管理の記録を、根拠資料としてすぐに示せます。
台帳の更新漏れが続いている場合は、管理ツールへの移行を検討する時期といえます。
関連記事:IT資産管理とは?必要性やよくある問題、効率的な管理方法を解説
種類と代表的な製品
8種類の管理ツールを、管理する領域ごとに4つに分けて紹介します。
同じ領域のツールは機能が重なりやすいため、役割の線引きもあわせて確認しておきましょう。

代表製品は、情シス向けの比較サイトで取り上げられることの多い製品から、各種類3つずつ計24製品を選んでいます。
製品の情報は変わる場合があるため、比較の際は各社の公式サイトで最新の情報を確かめてください。
1. 端末管理ツール
端末の管理に使うのは、IT資産管理ツールとMDMの2種類です。
得意とする端末の種類が異なるため、役割を分けて使います。
PC管理ツールとも呼ばれるIT資産管理ツールは、PCの構成情報を自動で集める仕組みです。
操作ログの記録や更新プログラムの配布まで担う製品も多くあります。
MDM(モバイルデバイス管理)は、スマートフォンに設定を配布し、紛失時には遠隔でロックできるツールです。
PCまで管理対象に含められる製品もあります。
PCが中心ならIT資産管理ツール、スマートフォンが多いならMDMを軸に選ぶと判断しやすいでしょう。
両方を使う場合は、同じ端末を二重に管理しないよう、ツールごとに担当する端末の範囲を先に決めておくことが大切です。
代表的な製品を6つ紹介します。
| 製品名 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版 | IT資産管理 | PCとスマートフォンを、クラウド上の1つの画面でまとめて管理できる。 操作ログの記録にも対応する。 端末の種類が混在する環境に向いている。 |
| SKYSEA Client View | IT資産管理 | 資産管理に加えて、PCの操作ログを記録できる。 USBメモリなど外部記憶媒体の利用も制限が可能。 情報漏えい対策を重視する場合に向いている。 |
| ISM CloudOne | IT資産管理 | クラウド型の製品で、端末の脆弱性を自動で診断できる。 更新プログラムの適用漏れを見つけやすい。 脆弱性への対応を効率よく進めたい場合に向いている。 |
| Microsoft Intune | MDM | 主要なOSの端末を、1つの管理画面で扱える。 Microsoft 365のアカウントと連携した設定がしやすい。 Microsoft 365を中心に業務を進めている企業に向いている。 |
| CLOMO MDM | MDM | 国産のMDMで、スマートフォンからWindowsのPCまで管理できる。 業務時間外に端末の利用を制限する機能もある。 開発元が直接サポートを提供しており、日本語で相談しやすい。 |
| Jamf Pro | MDM | MacやiPhoneなど、Apple製品の管理に特化したMDM。 導入時の初期設定を自動化しやすい。 Apple製品を多く使う企業に向いている。 |
関連記事:MDMとは?導入手順や選び方のポイント、注意点を徹底解説
2. アカウント管理ツール
アカウントの管理に使うのは、ID管理ツールとSaaS管理ツールです。
ID管理ツールはログインの入口を、SaaS管理ツールはSaaSの利用実態を管理する点で役割が分かれます。
ID管理ツールは、IDaaS(クラウド型のID管理サービス)とも呼ばれるツールです。
1回のログインで複数のサービスを使えるシングルサインオンや、多要素認証(パスワードに別の要素を加える本人確認)を一括で設定できます。
人事データと連携すれば、退職時のアカウント停止も自動化が可能です。
SaaS管理ツールは、社内で使われているSaaSの利用状況を一覧にして管理します。
会社が認めていない生成AIの利用まで検知できる製品も登場しました。
個人のメールアドレスで契約したSaaSは、ID管理ツールからは見えません。
ID管理ツールで入口を固め、SaaS管理ツールで入口の外を洗い出すと、抜け漏れを防ぎやすくなるでしょう。
代表的な製品を、種類別に整理しました。
| 製品名 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| Microsoft Entra ID | ID管理 | Microsoft 365と共通のアカウント基盤で使えるID管理サービス。 アクセス元の条件に応じて、ログインを制限することもできる。 Microsoft 365を利用している企業が最初に検討しやすい。 |
| Okta Workforce Identity | ID管理 | 連携できるクラウドサービスが多く、シングルサインオンの対象を広げやすい。 アカウントの作成から削除までを自動化できる。 多くのクラウドサービスを使い分けている企業に向いている。 |
| HENNGE One | ID管理 | 国産のIDaaSで、クラウドサービスへのログインを一元化できる。 メールの誤送信対策などを追加できるプランもある。 日本語でのサポートを重視する場合に向いている。 |
| ジョーシス | SaaS管理 | SaaSとデバイスの情報を一元管理できる。 入退社時のアカウント対応を効率化しやすい。 人の入れ替わりが多く、アカウントの処理に手間がかかる場合に向いている。 |
| マネーフォワード Admina | SaaS管理 | SaaSの利用状況を自動で集め、費用を見える化できる。 使われていないアカウントを見つけやすい。 SaaSの費用を見直したい場合に向いている。 |
| freee IT管理 | SaaS管理 | 旧Bundle by freeeで、SaaSとデバイスを一元管理できる。 会社が承認していない生成AIの利用も検知が可能。 freeeの各種サービスとの連携を活かしやすい。 |
3. 問い合わせ対応ツール
問い合わせ対応で組み合わせて使うのが、ヘルプデスク管理ツールとナレッジ管理ツールです。
前者は届いた問い合わせをさばき、後者は問い合わせの数を減らす役割を担います。
ヘルプデスク管理ツールは、届いた問い合わせをチケットとして登録し、対応状況を記録するツールです。
対応の履歴が残るため、担当者が不在でもほかのメンバーが引き継げます。
ナレッジ管理ツールは、社内のマニュアルをまとめて検索できるようにするツールです。
利用者が自分で答えを探せるようになれば、同じ質問への回答にかかる時間を減らせるでしょう。
よく届く質問をナレッジとして公開し、解決しない問い合わせだけをチケットで受け付ける流れを作ると、2つのツールが補い合います。
代表的な製品は、次のとおりです。
| 製品名 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| Jira Service Management | ヘルプデスク管理 | 問い合わせをチケットで管理し、対応の流れを細かく設計できる。 開発部門がJiraを使っている企業では、情報の連携がしやすい。 |
| Zendesk | ヘルプデスク管理 | 複数の窓口に届く問い合わせを、1つの画面でまとめて管理できる。 社外向けの顧客対応で広く使われており、社内ヘルプデスクにも応用が可能。 |
| ServiceNow ITSM | ヘルプデスク管理 | 問い合わせの管理に加え、IT資産の管理まで一つの基盤で扱える。 運用の手順を細かく標準化できる。 情シスの人数が多く、業務を細かく分担している体制に向いている。 |
| NotePM | ナレッジ管理 | 社内のマニュアルをまとめ、添付ファイルの中身まで検索できる。 表記の揺れを考慮した検索にも対応する。 閲覧の権限を細かく設定できる。 |
| Confluence | ナレッジ管理 | 社内wikiとして、ページを階層で整理できる。 手順書などのテンプレートが用意されている。 Jira製品と連携しやすい。 |
| Helpfeel | ナレッジ管理 | 言い回しが違う質問からも、回答を探しやすいFAQ検索の仕組み。 利用者の自己解決を促し、問い合わせの数を減らしたい場合に向いている。 |
関連記事:社内ヘルプデスクとは?役割・課題から5つの解決策まで徹底解説
4. システム監視ツール
社内のIT環境の異常を早く見つけるためのツールが、監視ツールとEDRです。
監視ツールは機器の停止を、EDRは端末上の不審な挙動を見張ります。
監視ツールは、サーバーなどの機器が正常に動いているかを定期的に確かめるツールです。
異常を検知すると、担当者に通知します。
EDR(Endpoint Detection and Response)は、端末の動きを記録し、攻撃の兆候を検知して隔離するツールです。
従来のウイルス対策ソフトが主に既知の不正プログラムを防ぐのに対し、EDRは侵入された後の早期発見を担います。
監視ツールは障害への備え、EDRはサイバー攻撃への備えとして役割を分けて考えるとよいでしょう。
どちらも、通知を受けた後の対応手順まで決めておくことが導入の効果を左右します。
代表的な製品を、種類別にまとめました。
| 製品名 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| Zabbix | 監視 | オープンソースで、無償で使える監視ツール。 日本法人による有償サポートもある。 導入には一定の知識が必要なため、社内に詳しい担当者がいる場合に向いている。 |
| PRTG Network Monitor | 監視 | 監視項目が100個までなら無料で使える。 ネットワーク機器の監視を得意とする。 小さく始めて、監視の範囲を少しずつ広げたい場合に向いている。 |
| Datadog | 監視 | クラウド型の監視サービスで、自社で監視用のサーバーを用意せずに使える。 クラウド環境の監視を得意とする。 AWSなどのクラウドを多く使う企業に向いている。 |
| Microsoft Defender for Endpoint | EDR | Windowsに組み込まれた機能を基盤にしたEDR。 不審な挙動を検知すると、端末をネットワークから隔離できる。 Microsoft製品を中心に使っている企業に向いている。 |
| CrowdStrike Falcon | EDR | クラウド型のEDRで、端末の挙動を常時記録する。 専門家による24時間の監視サービスも選べる。 社内で警告に対応する人手が足りない場合に向いている。 |
| Trend Vision One | EDR | 端末に加えて、メールやネットワークの情報もあわせて分析できる。 日本に本社を置くトレンドマイクロが提供している。 |
関連記事:EDR導入とは?手順・費用・選定ポイントをわかりやすく解説
組み合わせて使う周辺ツール
管理ツールとあわせて使うと、情シスの日常業務を効率化できる周辺ツールもあります。
主な種類は次のとおりです。
| 種類 | 役割 | 製品例 |
|---|---|---|
| リモートサポート | 離れた場所の端末に接続し、画面を見ながら操作を支援する | TeamViewer |
| 業務の自動化 | 定型の作業を、決めた手順で自動実行する | Microsoft Power Automate |
| プロジェクト管理 | 端末の入れ替えなどの作業を、課題ごとに進捗管理する | Backlog |
| ファイル共有 | ファイルサーバーのように使えるクラウドストレージで、アクセス権限や操作ログを管理できる | セキュアSAMBA |
| バックアップ | サーバーのデータを定期的に複製し、障害時に復元する | Veeam Backup & Replication |
バックアップは、ランサムウェアなどの被害を小さくする備えにもなります。
業務全体の効率化の進め方は、次の記事が参考になるでしょう。
関連記事:情シスの業務効率化7つの方法|メリットや進め方について解説
管理ツールを選ぶ観点
管理ツールは、機能の数や知名度だけで選ぶと、導入後に使いこなせない場合があります。
自社の環境と体制に合うかを、次の5つの観点で確かめましょう。
1. 対応するOSと端末
最初に確かめたいのは、自社の端末やサービスを管理の対象に含められるかどうかです。
WindowsのPCに強い製品でも、MacやiPhoneの管理には対応していない場合があります。
社外に持ち出すノートPCや、私物のスマートフォンを業務で使っている場合は、社外のネットワークからも管理できるかを確認しましょう。
端末にソフトを入れるエージェント型と、入れずに情報を集めるエージェントレス型の違いも判断材料になります。
エージェント型は詳しい情報を取得できる反面、全端末へのソフトの配布と更新に手間がかかる点に注意が必要です。
端末の種類と台数、社外で使う端末の有無を一覧にしてから、対応範囲を比べると見落としを防げます。
2. 既存システムとの連携
管理ツールの効果は、ほかのシステムとどこまで連携できるかで大きく変わります。
人事システムと連携できれば、入退社の情報をもとにアカウントの作成や停止を自動で進められるでしょう。
メールやグループウェアのアカウント情報と連携できれば、利用者の一覧を手作業で作る手間も省けます。
SaaS管理ツールやID管理ツールでは、連携できるSaaSの数と、自社で使っているサービスが含まれるかを確かめてください。
会計システムの支払データと照合できる製品なら、情シスが把握していない契約も見つけやすくなります。
連携の範囲は、導入前に自社のサービス一覧と照らし合わせて確認しておくことが大切です。
3. 運用負荷とサポート体制
導入後に続く運用の手間も、選定時に確かめておきたい観点です。
少人数の情シスでは、管理画面の見やすさや通知の量が日々の負担に直結します。
日本語で問い合わせできる窓口や、設定を手伝う導入支援があるかも確認しましょう。
1製品で幅広い領域を扱う統合型は、画面が1つで済むため少人数の体制と相性がよいといえます。
分野ごとに製品を選ぶ専門型は機能が深い一方、画面と契約が増える点に注意してください。
運用に使える時間から逆算して、管理画面を毎週確認できる製品を選ぶことが定着への近道です。
操作できる人が1人に限られると、属人化の原因にもなるでしょう。
関連記事:情シス業務の属人化とは?原因とリスク、効果的な6つの解決策を紹介
4. 料金体系と総費用
管理ツールの料金は、課金の単位によって総費用が大きく変わります。
主な課金の単位と、比較するときの注意点を整理しました。
| 課金の単位 | 主なツール | 比較するときの注意点 |
|---|---|---|
| 利用者の数 | ID管理ツール、SaaS管理ツール、ヘルプデスク管理ツール | 休職者や退職予定者のアカウントも課金の対象に含まれるかを確認する |
| 端末の数 | IT資産管理ツール、MDM、EDR | 同じ種類でも利用者単位の製品があるため、端末と利用者の数を両方そろえて見積もる |
| 監視の対象の数 | 監視ツール | 監視する項目や機器を増やすと費用も増えるため、対象を絞って見積もる |
| 保存する容量 | ファイル共有 | 利用者の数ではなく容量で料金が決まるプランもあるため、データの増え方を見込んでおく |
月額の料金だけでなく、初期費用や導入支援の費用、最低の契約数も含めた総費用で比べましょう。
無料プランや無料トライアルで、自社の環境で動くかを確かめてから契約すると失敗を防げます。
5. セキュリティ要件への対応
取引先からセキュリティ対策を問われる機会がある場合は、要件を満たす管理ができるかも確かめておきましょう。
セキュリティ対策評価制度の★3(最低限求められる対策の段階)には、管理ツールで対応しやすい要求事項が含まれています(出典:IPA「★3・★4 要求事項・評価基準」2026年4月)。
| 要求事項 | 求められる内容の例 | 対応しやすいツール |
|---|---|---|
| 情報機器、OS及びソフトウェアに関する情報の把握 | PCやサーバーの製造元・OS・台数を把握する仕組みを整える | IT資産管理ツール |
| 外部情報サービスの管理 | 機密情報を扱うクラウドサービスを把握し、自社の要件を満たすかを確認する | SaaS管理ツール |
| ユーザIDの管理手続 | 不要になったIDとアクセス権を速やかに削除または無効化する | ID管理ツール、SaaS管理ツール |
| 認証の強度・実装方法の決定 | 重要な機密情報を扱うクラウドサービスで、常に多要素認証を使う | ID管理ツール |
| アカウントロック制御 | PCやスマートフォンに、ログインの失敗が続いたときのロックを設定する | MDM、IT資産管理ツール |
| セキュリティパッチ・アップデートの手続 | 深刻度の高い脆弱性の修正を、リリースから14日以内に適用する | IT資産管理ツール |
ツールを入れるだけで要件を満たせるわけではなく、ルールの整備や記録の保管も必要です。
制度への対応を見据える場合は、ツールの画面や出力する記録を根拠資料として使えるかを確認するとよいでしょう。
管理ツールの選定でお悩みなら「情シス君」へ
自社に合うツールと導入の順番を整理します
管理ツールは、自社の端末やサービス、体制に合っていてこそ効果を発揮するものです。
「IT顧問 情シス君」では、現状の棚卸しから候補の比較、導入の順番の整理までをご支援します。
導入後の設定や運用の定着まで、必要な範囲に絞ったご相談も可能です。
サービス資料では、支援の範囲と進め方を具体的に紹介しています。
ツール選びの判断材料としてご活用ください。
導入を進める手順
管理ツールを定着させるには、製品を選ぶ前の準備と導入後の見直しが欠かせません。
棚卸しから運用の定着までを、5つのステップに分けて解説します。

ステップ1 管理対象の棚卸し
最初に、社内にある端末とアカウント、SaaSの現状を洗い出します。
現状がわからないまま製品を選ぶと、必要な機能を見誤りやすいためです。
棚卸しで確認したい項目を整理しました。
- 端末
PCとスマートフォンの台数・OSとバージョン・利用者・保管場所 - SaaSの契約
経理の支払明細やカードの利用明細と照合した、契約中のサービスと費用 - アカウント
サービスごとの利用者と管理者権限を持つ人、退職者のアカウントの有無 - 運用の課題
問い合わせの多い内容や、更新が止まっている台帳
台帳の項目は、後から管理ツールへ取り込めるよう、列の名前と書き方をそろえておくと移行が楽になります。
関連記事:情報資産管理台帳とは?記載項目一覧と作成3ステップ【Excel例・ISMS対応】
ステップ2 優先順位づけ
棚卸しの結果をもとに、どのツールから導入するかを決めます。
課題の大きさと、運用に使える人数の2つを軸にすると順番を決めやすいでしょう。
| 情シスの体制 | 導入の順番の例 | 外部と分担しやすい領域 |
|---|---|---|
| 専任の担当者がいない・兼務1名 | ID管理ツール → IT資産管理ツールかMDM → SaaS管理ツール | 監視とEDRの運用、問い合わせの一次対応 |
| 専任1〜2名 | IT資産管理ツール → ID管理ツール → SaaS管理ツール → ナレッジ管理ツール | EDRの常時監視、夜間や休日の障害対応 |
| 専任3名以上 | IT資産管理ツールとMDM → ID管理ツールとSaaS管理ツール → ヘルプデスク管理ツールと監視ツール | EDRの常時監視、専門的な設定の見直し |
担当者が少ないほど、退職者のアカウント停止のように、漏れると被害が大きい管理から先に自動化するのが効果的です。
課題別に見た候補のツールも整理しました。
- 退職者のアカウントが残る
ID管理ツールとSaaS管理ツールを候補にし、退職時の手続きの流れを先に決める - PCの所在や利用者がわからない
IT資産管理ツールを候補にし、台帳の項目と更新の担当者を先に決める - 問い合わせが多く本来の業務が進まない
ナレッジ管理ツールとヘルプデスク管理ツールを候補にし、よく届く質問を先に洗い出す - SaaSの費用が膨らんでいる
SaaS管理ツールを候補にし、契約の承認者と見直しの時期を先に決める - 障害や攻撃に気づくのが遅れる
監視ツールとEDRを候補にし、通知を受けた後の連絡先を先に決める
ひとり情シスの体制では、すべてを社内で抱えずに外部との分担も視野に入れておきましょう。
関連記事:ひとり情シスはなぜつらい?現場が抱える課題と解決策をわかりやすく解説
ステップ3 社内ルールづくり
ツールを入れる前に、社内の利用ルールを決めておきます。
ルールがないままツールだけを導入すると、検知した問題を誰がどう扱うかが決まらず運用が止まるためです。
最低限、次の3つのルールは決めておきましょう。
- 利用申請と承認の流れ
新しいSaaSや端末を使う際に、誰に申請して誰が承認するか - 利用を認めないサービスの一覧
個人向けのファイル転送サービスや、会社が承認していない生成AIなど - 入退社と異動の手続き
アカウントの作成と停止、端末の貸与と回収を誰がいつ行うか
禁止するだけでなく、代わりに使えるサービスを示すと、隠れて使う人を減らせます。
ルールは全社に周知し、就業規則や情報セキュリティの規程と矛盾しないかも確かめてください。
ステップ4 試用と段階的な展開
候補を2〜3製品に絞ったら、無料トライアルや試用版で実際の環境に入れて確かめます。
資料だけではわからない画面の使いやすさや、既存の端末での動作を確認できるからです。
無料トライアルの期間は製品ごとに異なるため、試す項目を先に決めてから申し込むと期間を有効に使えます。
試用では、自社の端末やサービスが正しく認識されるかを最初に確かめましょう。
通知の量が多すぎないかや、担当者が迷わず操作できるかもあわせて確認します。
導入を決めたら、一部の部署で先に使い始め、問題がないことを確かめてから全社へ広げる流れが安全です。
端末にソフトを入れる場合や操作ログを取る場合は、目的と取得する範囲を従業員に事前に説明しておくと、反発や誤解を防げます。
ステップ5 定着と定期見直し
導入した後は、管理画面を確認する頻度と担当者を決め、運用を習慣にします。
確認の予定を決めていないと、通知や警告が放置されやすくなるためです。
定期的に確認したい項目の例を、頻度別に整理しました。
- 毎週
新しく検知されたSaaSや端末、未適用の更新プログラム、EDRや監視の警告 - 毎月
退職者と異動者のアカウントの停止状況、使われていないライセンス - 半年ごと
ツールの設定とルールの見直し、契約内容と費用の妥当性
導入の効果は、台帳の更新にかかる時間や退職者のアカウントが残っている件数などの数字で確かめると、見直しの判断がしやすくなります。
導入後の運用体制
管理ツールの効果は、入れた後の運用で大きく変わるものです。
導入後につまずきやすい場面と、少人数の体制で運用を続けるための役割分担を解説します。
つまずきやすい場面
導入の直後は順調でも、運用を続けるうちに次のような問題が起きやすくなります。
代表的な場面と防ぎ方を整理しました。
- 機能の多さで製品を選んでしまう
使わない機能の費用を払い続けないよう、課題に必要な機能から逆算して選びます。 - 自動収集の結果を確かめずに信用する
取り込んだ台帳は最初に実物と突き合わせ、登録漏れや重複を直しておきましょう。 - 管理者権限を1人に集中させる
担当者の不在に備えて管理者を2名以上にし、権限の範囲も記録しておきます。 - ツール同士の情報が食い違う
IT資産管理ツールとMDMで台数が合わない場合は、どちらを正とするかを決めて定期的に照合します。 - 通知の条件を初期設定のまま使う
重要度の低い通知を減らし、対応が必要な警告だけが担当者に届くように調整してください。
ツールの設定と運用の手順を文書に残しておくと、担当者が替わっても同じ水準で運用を続けられます。
ツールで減る作業と残る作業
管理ツールを入れても、情シスの仕事がすべてなくなるわけではありません。
ツールが代わりに担う作業と、人の判断が残る作業を分けて考えることが大切です。
| 領域 | ツールで減る作業 | 人の判断が残る作業 |
|---|---|---|
| 端末 | 台帳の更新、ソフトウェアの情報収集、更新プログラムの配布 | 貸与のルール決め、紛失時の対応の判断、買い替えの計画 |
| アカウント | アカウントの一覧化、退職者のアカウントの検知、利用状況の集計 | 利用を認めるサービスの判断、契約の見直し、権限の設計 |
| 問い合わせ対応 | 問い合わせの受付と振り分け、よくある質問への回答 | ナレッジの作成と更新、仕組みで解決する改善策の検討 |
| システム監視 | 異常の検知と通知、ログの記録 | 通知を受けた後の原因の切り分け、影響範囲の判断、関係者への連絡 |
人の判断が残る作業は、社内の事情を知る担当者が担う部分と、専門知識を持つ外部に任せられる部分に分けられます。
情シス部門が担う業務の全体像は、次の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:情シス部門とは?仕事内容7つと役割・体制別の課題を徹底解説
外部との役割分担
専任の担当者が少ない場合は、判断を社内に残し、設定や定期的な確認の一部を外部と分担する方法があります。
外部に任せやすいのは、手順が決まっていて専門知識が必要な作業です。
EDRの警告の確認や監視ツールの設定、管理ツールの初期設定と台帳の整備は、外部の支援を活用しやすい領域といえるでしょう。
一方で、利用を認めるサービスの判断や、社内ルールの最終決定は社内で担うべき役割です。
判断は社内、作業の一部は外部と役割を分けることで、少人数でも管理の水準を保てます。
外部と分担する際は、任せる範囲と連絡の手順、管理画面の権限を事前に取り決めておきましょう。
管理ツールの運用体制づくりは「情シス君」へ
設定の見直しから定期的な確認まで分担できます
「ツールは入れたが、管理画面を見る時間が取れない」
「警告が届いても、判断できる担当者がいない」
「IT顧問 情シス君」は、支援実績250社以上の知見をもとに、管理ツールの運用を社内の体制に合わせてご支援します。
初期設定や台帳の整備、定期的な確認など、社内で手が回らない部分だけを分担することも可能です。
サービス資料では、支援の範囲と進め方を具体的に紹介しています。
社内で担う範囲と外部に任せる範囲を決める材料としてご活用ください。
よくある質問と回答
情シスの管理ツールについて、よく寄せられる質問に回答します。
最初に導入すべき管理ツールは?
多くの場合、端末を把握するIT資産管理ツールと、アカウントを管理するID管理ツールが最初の候補になります。
情報漏えいにつながりやすい端末とアカウントの管理を先に固めると、ほかのツールの効果も出やすいためです。
どちらを先にするかは、棚卸しで見つかった課題の大きさで決めてください。
無料で使える管理ツールはありますか?
監視ツールのZabbixのように、無償で使えるオープンソースの製品があります。
監視項目が100個までなら無料のPRTG Network Monitorも、小さく始めたい場合の選択肢です。
ただし、無料の製品は設定や保守を自社で担う必要があるため、運用に使える時間も含めて判断しましょう。
Excelでの管理はいつまで続けられますか?
更新漏れで台帳と実態が合わない状態が続く場合や、担当者しか台帳を更新できない場合は移行を検討する時期です。
退職者のアカウントの削除漏れや、契約中のSaaSを把握しきれない状態も目安になります。
Excelの台帳は捨てずに、移行時に取り込む元データとして整えておくとよいでしょう。
生成AIの利用状況も把握できますか?
SaaS管理ツールの中には、会社が承認していない生成AIの利用を検知できる製品があります。
検知の方法や対応するサービスの範囲は製品によって異なるため、試用の段階で確かめてください。
ツールで把握するのとあわせて、入力してよい情報の範囲など、生成AIの利用ルールも決めておくことが大切です。
管理ツールの運用を外部に任せられますか?
初期設定や台帳の整備、警告の確認などは外部に任せることが可能です。
一方で、利用を認めるサービスの判断や社内ルールの決定は、社内に残すべき役割になります。
外部に任せる範囲の考え方は、情シスのアウトソーシングを比較した次の記事が参考になるでしょう。
関連記事:情シスアウトソーシング比較14選!代行・外注のメリットと選び方を徹底解説
まとめ
本記事では、情シスの管理ツールの種類と代表製品、選び方と導入の進め方を解説しました。
要点を振り返ります。
- 管理ツールの全体像
端末・アカウント・問い合わせ対応・システム監視の4領域で、8種類に分かれる - 機能が重なる組み合わせ
IT資産管理ツールとMDM、ID管理ツールとSaaS管理ツールは、担当する範囲を決めて使い分ける - 選ぶ観点
OSと端末・既存システムとの連携・運用負荷・料金体系・セキュリティ要件の5つで比べる - 導入の手順
棚卸し・優先順位づけ・ルールづくり・試用と展開・定着と定期見直しの順で進める - 運用の体制
判断は社内に残し、設定や定期的な確認の一部は外部と分担できる
管理ツールは、入れるだけで管理が整う道具ではありません。
台帳とルールを先に整え、ツールで維持する流れを作ることが、少人数でも管理を続けるための確かな方法です。
まずは端末とアカウント、SaaSの棚卸しから始めてみてください。
現状が一覧になるだけでも、次に導入すべきツールが見えてくるはずです。






