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更新日:2024.06.27
情報セキュリティ

情報セキュリティリスクとは?リスクの種類と分析方法、6つの対策を紹介

近年、サイバー攻撃が多様化・高度化し、企業のシステムや機密情報を狙った攻撃が増加しています。こうした状況下で、情報セキュリティの重要性はますます高まっています。

情報セキュリティ対策を講じる際は、まずセキュリティリスクの種類を理解することが大切です。そのうえで、自社に潜むリスクを分析し、実態に即した対策を立案することが求められます。

「情報セキュリティのリスクについて知りたい」
「対策として、どのようなことができるか知りたい」

そのような方のために、この記事では情報セキュリティリスクについて詳しく解説します。情報セキュリティリスクの種類や分析方法、具体的な対策を紹介しますので参考にしてください。

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情報セキュリティリスクとは

情報セキュリティリスクとは、情報システムやデータが、脅威によって損害や悪影響を受ける可能性のことです。具体的には、サイバー攻撃によるシステム停止、情報漏洩、データ改ざんなどが挙げられます。

適切なセキュリティ対策を怠ると、システムの脆弱性などの問題点が放置されたままになり、セキュリティ事故が発生しやすくなります。事故が起これば、業務停止に伴う機会損失、情報漏洩による損害賠償、信用失墜に起因する売上減少など、深刻な影響を及ぼしかねません。

したがって、企業はセキュリティリスクを適切にマネジメントし、事故を未然に防ぐ必要があります。リスクの種類を把握した上で、自社の状況に即した対策を講じることが大切です。

情報セキュリティの3要素

情報セキュリティでは、可用性・完全性・機密性の3要素が重要視されています。

要素意味
可用性ある情報を活用したい人が、いつでも活用できる状態のこと。
完全性情報が欠損・破損しておらず、改ざんされていない状態であること。
機密性情報にアクセスするべき人のみがアクセスできる状態になっていること。

情報セキュリティリスクを適切にマネジメントし、3要素のバランスを保つことが、安全なIT環境に不可欠といえるでしょう。

情報セキュリティリスクにおける脅威と脆弱性

情報セキュリティリスクには、「脅威」と「脆弱性」の2つの要素があります。

  • 脅威 企業の情報資産に損失を与えうる要因
  • 脆弱性 システムや管理体制などに内在する弱点・欠陥

ここでは、脅威と脆弱性について詳細に解説します。

情報セキュリティにおける脅威とは

情報セキュリティにおける脅威とは、企業の情報資産に損失を与えうる要因のことです。以下の3つに分類できます。

  • 意図的脅威
  • 偶発的脅威
  • 環境的脅威

それぞれ詳しく見ていきましょう。

意図的脅威

意図的脅威とは、何らかの目的を持って情報システムに損害を与えようとする行為のことです。

不正アクセス、情報の不正利用・改ざん、ウイルス、なりすましなどが該当します。また、従業員や元従業員による機密データの持ち出しや悪用といった内部不正も意図的脅威に含まれます。

これらの脅威は大規模な被害につながるリスクが高いのが特徴です。例えば、ランサムウェア攻撃による業務停止や、機密情報の窃取・漏えいによる信用失墜につながる恐れがあります。

企業はこのような悪意ある攻撃を想定し、徹底した対策を講じなければなりません。

偶発的脅威

偶発的脅威とは、人が誤って引き起こしてしまう、ヒューマンエラーのことです。例えば、従業員がうっかりパスワードを公開してしまう、ウイルス付きのメールを開封してしまう、USBの紛失や盗難に遭うなどのケースが該当します。

偶発的脅威を防ぐためには、セキュリティ教育の徹底や、業務マニュアルの整備が重要です。

環境的脅威

環境的脅威とは、自然災害や異常気象など、自然や環境が要因によるセキュリティリスクです。

地震、洪水、落雷などによる設備の損壊や、極端な高温多湿によるシステム障害などが代表的です。

環境的脅威には、耐震設計やデータのバックアップ、災害復旧計画の策定などの対策が求められます。

情報セキュリティにおける脆弱性とは

情報セキュリティにおける脆弱性とは情報システムや管理体制などに内在する弱点や欠陥のことを指します。

情報セキュリティにおける脆弱性は、下記の3つに分類できます。

  • ソフトウェアの脆弱性
  • 文書管理の不備による脆弱性
  • 立地からくる脆弱性

これらの脆弱性についても詳しく見ていきましょう。

ソフトウェアの脆弱性

ソフトウェアの脆弱性とは、コンピューターやソフトウェア、その他ITシステムで発生したセキュリティ上の欠陥のことです。

攻撃者は、こうした脆弱性を悪用してシステムに侵入を試みます。そのため、脆弱性を放置していると、ウイルス感染やフィッシング詐欺などのサイバー攻撃を受けるリスクが高くなってしまうのです。

普段から最新の情報を収集するように努め、脆弱性が発覚次第、迅速な修正に努めることが重要です。また、定期的な脆弱性診断を実施し、潜在的なリスクを把握することも欠かさないようにしましょう。

文書管理の不備による脆弱性

重要な書類やデータの管理体制が不十分だと、セキュリティリスクが高まります。例えば、サーバールームや機密文書保管室の施錠不備、システム担当者の退職後にアクセス権を停止しないことなどが該当します。

適切な運用・管理体制がないと、悪意ある人物に機密情報が持ち去られ、情報漏洩につながる可能性があります。

このような事態を防ぐには、文書管理体制を見直し、適切なルールとプロセスを整備することが求められます。

立地からくる脆弱性

環境的脅威に見舞われやすい場所にデータセンターや企業のオフィスがある状態を、立地からくる脆弱性と呼びます。このような場所に情報資産を置いていると、自然災害やトラブルによってシステムの安定運用が脅かされます。

具体的には、地震や洪水によるデータセンターの損壊、大規模停電によるサーバーのダウン、通信ケーブルの切断によるネットワーク障害などが考えられるでしょう。また、一部の国では、デモや暴動等によってサーバーやシステムの稼働が困難になるリスクもあります。

こうした脆弱性への対策として、事業継続計画(BCP)の策定と定期的な訓練が重要です。またシステムの冗長化やデータのバックアップなど、事前の備えも欠かせません。立地リスクを踏まえて適切な対策を講じることが求められます。

情報セキュリティリスクの分析方法

情報セキュリティ対策を講じるには、リスク分析が欠かせません。リスク分析とは、情報システムが脅威にさらされたときに起こりうる事象を明確にし、リスクを評価することです。

  • ベースラインアプローチ
  • 非形式的アプローチ
  • 詳細リスク分析
  • 組み合わせアプローチ

それぞれの特徴を理解し、自社の状況に適した手法を選ぶことが重要です。

ベースラインアプローチ

ベースラインアプローチは、一般的なセキュリティ基準や業界標準に基づいて、必要な対策を検討する手法です。まず、目標とするセキュリティレベルを設定し、現状とのギャップを分析します。その上で、基準に沿って対策を実施していきます。

ベースラインアプローチは、基本的な対策を漏れなく実施でき、作業量も比較的少なくて済むことがメリットです。

一方で、自社固有のリスクへの対応が不十分になりがちという問題があります。個別のシステムに特化した分析が難しいため、注意が必要です。

非形式的アプローチ

非形式的アプローチは、担当者の経験や知識を頼りにリスク分析する手法です。セキュリティの専門家が、自らの知見に基づいて脅威を洗い出し、対策の優先順位を決定します。

非形式的アプローチは、自社特有のリスクを把握しやすく、分析にかかる工数も少なくて済む点がメリットです。

しかし、担当者の主観に左右されやすく、分析の質にばらつきが出るのが難点です。加えて、最新の脅威への対応や、継続的なセキュリティ向上が難しいという課題もあります。

詳細リスク分析

詳細リスク分析は、資産の重要度、脅威の可能性、脆弱性の度合いの3つの指標を用いて、リスクを総合的に評価する手法です。対象システムを細かく分析し、リスクの優先順位付けを実施します。

詳細リスク分析のメリットは、自社の状況に即した正確なリスク評価が可能なことです。加えて、分析結果をもとにセキュリティ対策を継続的に改善できます。

ただし、分析に時間と手間がかかり、コストも高くつく傾向があることには注意が必要です。

組み合わせアプローチ

組み合わせアプローチは、上記の3つの手法を組み合わせて用いる方法です。例えば、ベースラインアプローチで全体的な対策レベルを確保し、重要な資産には詳細リスク分析を実施するといったように、複数の手法を併用します。

組み合わせアプローチのメリットは、それぞれの手法の長所を活かせる点にあります。ベースラインアプローチの網羅性、非形式的アプローチの柔軟性、詳細リスク分析の精緻さを、状況に応じて使い分けることが可能です。

一方で、手法の選択と組み合わせに関する明確な基準がなく、適切な方法を見出すのが難しいというデメリットがあります。

情報セキュリティ対策の例

情報セキュリティ対策を講じる方法は様々ですが、特に重要な対策を6つご紹介します。

  1. セキュリティポリシーの策定
  2. 情報セキュリティに関する教育・トレーニングの実施
  3. アクセス制御・権限管理
  4. モニタリング体制の構築
  5. 脆弱性評価・セキュリティパッチの適用
  6. データのバックアップ・復旧計画の策定

1. セキュリティポリシーの策定

セキュリティポリシーとは、情報セキュリティ対策の基本方針や具体的な実施事項をまとめた社内ルールのことです。

セキュリティポリシーを策定することで、全社で一貫性のある対策を実施できます。セキュリティポリシーで定めておくべき項目は、下記のとおりです。

  • 情報セキュリティの対策方針・対策基準
  • 情報セキュリティ対策の方法
  • データ管理に関するルール・方法
  • セキュリティ違反時の対応策
  • アクセス制御に関するルール・方法

セキュリティポリシーを適切に策定し、運用することで、組織のセキュリティレベルを向上させられるでしょう。策定したポリシーは、定期的に見直して、最新の脅威や技術動向に合わせて更新していくことが重要です。

2. 情報セキュリティに関する教育・トレーニングの実施

従業員のセキュリティ意識向上のために、定期的な教育・トレーニングが重要です。eラーニングや研修を通じて、攻撃手法や事故原因について学び、適切な対応力を身につけられるようにしましょう。

フィッシング詐欺や不審メールの見分け方などをテーマにした実践的な内容を盛り込むことで、教育効果を高められます。

セキュリティ意識を継続的に高めるには、一度きりではなく、定期的な教育が欠かせません。最新の脅威動向を踏まえ、適宜内容をアップデートしていくことも必要です。

3. アクセス制御・権限管理

内部からの情報漏洩や外部からの不正アクセスを防ぐため、アクセス制御・権限管理を徹底しましょう。原則として、ネットワークやシステム、データへのアクセス権は、業務上必要な範囲に限定すべきです。

アクセス権は、従業員の職務に応じて詳細に設定しましょう。また、役職の変更や退職の際は、速やかに権限を見直すことが大切です。

加えて、機密性の高い情報を扱うシステムでは、アクセスログの記録・分析も怠らないようにし、不審な兆候の早期発見に努めましょう。

意図的か偶発的かを問わず、内部からの脅威を防ぐためには、アクセス制御・権限管理の徹底が不可欠です。

4. モニタリング体制の構築

セキュリティ脆弱性の早期発見・対処のために、モニタリング体制の整備は欠かせません。サーバーやネットワークの異常を監視・検知するツールを導入し、不審な兆候をいち早く捉えることが重要です。

24時間365日の監視体制を敷き、AIを活用した高度な分析を実施することが望ましいでしょう。これにより、巧妙化するサイバー攻撃の予兆も見逃すことなく、攻撃の初期段階で検知することが可能になります。早期の検知と速やかな対処により、被害を最小限に抑えられるのです。

5. 脆弱性評価・セキュリティパッチの適用

ソフトウェアの脆弱性を放置すれば、サイバー攻撃の格好の的となってしまいます。定期的に脆弱性評価を実施し、見つかった脆弱性は速やかにセキュリティパッチを適用して修正しましょう。

加えて、ソフトウェアを常に最新の状態に保つことも欠かせません。古いバージョンのソフトウェアを使い続けていると、既知の脆弱性を狙われるリスクが高まってしまいます。IT資産管理ツールなどを利用して、遠隔でのアップデートを実施することで、効率的にソフトウェアを最新の状態に保てます。

脆弱性対策を継続的に行うことが、セキュリティリスク低減の鍵を握るといえるでしょう。

6. データのバックアップ・復旧計画の策定

サイバー攻撃や自然災害によってデータが失われるリスクに備え、定期的なバックアップを実施しましょう。バックアップからデータを復元できれば、万一の際にも事業継続が可能となります。

加えて、復旧手順を事前に定めておくことも重要です。データ復元の方法や、システム再開の順序など、具体的な計画を策定しておく必要があります。

また、策定した計画が実際に機能するかどうかを確認するために、定期的な訓練を実施することも重要です。訓練を重ねることで、いざというときに迅速に行動できる体制を実現できるでしょう。

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情報セキュリティ対策でよくある課題

情報セキュリティ対策を講じる企業には、以下の課題に直面しているケースが多く見られます。

  • 管理負担が大きくなっている
  • 社内にセキュリティに精通した人材がいない

これらの課題について、対策とあわせて解説します。

管理負担が大きくなっている

近年、様々なタイプのSaaS系サービスの登場により、社内で管理すべきシステムが増加傾向にあり、システム管理の負荷も増大しています。管理作業に追われていると、セキュリティ対策にリソースを割くことが難しくなります。

この課題に対応するには、管理業務の効率化、外部リソースの活用などが有効です。ITツールの導入やアウトソーシングの活用を通して、情シス業務の負担を小さくし、セキュリティ対策に注力できる体制を整えましょう。

社内にセキュリティに精通した人材がいない

多くの企業で、セキュリティ対策に通じた人材が不足しています。

サイバー攻撃の手口が高度化・多様化する中、セキュリティ人材の採用・育成は急務です。しかし、専門性の高さから、そのような人材の確保は困難なのが実情です。

こうした課題を解決する方法の一つが、情報セキュリティ対策をアウトソーシングすることです。専門知識を持った外部の人材を活用することで、適切なセキュリティ対策を講じられます。アウトソーシングにより、社内リソースの不足を補い、高度な脅威に対応したセキュリティ対策を実現できるでしょう。

情報セキュリティ対策で「IT顧問 情シス君」がおすすめな理由

情報セキュリティ対策を委託するなら「IT顧問 情シス君」がおすすめです。ここでは、情シス君の特徴とおすすめの理由を詳しく解説します。

1. 幅広いセキュリティ対策が可能

情シス君では、データ保護やファイアウォール、暗号化、ポリシー設定など、多岐にわたるセキュリティ対策をカバーしています。ISMS(ISO/IEC 27001:2022)認証を取得しており、高水準のセキュリティ対策を実現可能です。

また、急なセキュリティ・インシデントが発生した場合でも、24時間365日、経験豊富な専門家が迅速に対応します。情シス君を活用することで、自社に最適な包括的なセキュリティ対策を実現できます。

2. 情シス業務の委託も可能

情シス君は、セキュリティ対策だけでなく、キッティング、ヘルプデスク、システム開発、Web運用など、情報システム部門の業務全般をサポートします。

これらの情シス業務は、セキュリティ対策と密接に関連しています。複数の業務を連携させて統合的に管理することで、効率的で強固なセキュリティ体制を構築可能です。

また、情シス君に情シス業務を任せることで、社内リソースをコア業務に集中させることも可能になります。情シス君は、セキュリティ対策と情シス業務の両面から、企業のIT環境を強力にサポートします。

3. ドキュメント整備、内製化支援も対応可能

情シス君は、企業内の情報や文書の適切な管理・保管をサポートし、情報漏洩リスクの軽減に貢献します。社内の情報資産管理に欠かせないドキュメント整備を支援し、セキュリティ対策の基盤となる文書管理体制の構築を後押しします。

さらに、将来的にセキュリティ対策を自社で実施できるよう、内製化に向けたサポートも提供しています。専門家のノウハウを活かし、自社に適した形でセキュリティ対策を運用できる体制づくりを支援します。これにより、長期的かつ持続的なセキュリティ強化が可能になります。

情報セキュリティリスクを軽減するために、アウトソーシングの活用を検討しよう

この記事では、情報セキュリティリスクの種類と分析方法、対策について解説しました。情報セキュリティ対策は、IT体制整備、システム導入・運用、従業員の教育など、多岐にわたる取り組みが必要です。しかし、リソース不足や知見不足により、十分な対策を講じられない企業は少なくありません。

そこでおすすめなのが、情報セキュリティ対策のアウトソーシングです。専門知識を持った外部の人材に委託することで、適切なセキュリティ対策を講じられます。

アウトソーシングにより、社内リソースの不足を補い、高度な脅威に対応したセキュリティ対策を実現できるでしょう。また、空いたリソースを活用し、自社の重要な業務に専念できるメリットもあります。

「IT顧問 情シス君」は、セキュリティ対策だけでなく、情報システム部門の業務全般をサポートします。さらに、ドキュメント整備や内製化支援も対応可能です。これにより、企業は自社に最適な形でセキュリティ対策を進めることが可能になるでしょう。

情報セキュリティ対策をアウトソーシングしたい方は、ぜひ一度ご相談ください。