情シスのアウトソーシングなら 情シス君情シスジャーナル ・ 情シスとヘルプデスクの違いとは?対応範囲の決め方3ステップと5つの改善策
更新日:2026.09.01
ヘルプデスク

情シスとヘルプデスクの違いとは?対応範囲の決め方3ステップと5つの改善策

「PC不具合の連絡が頻繁に届き、手元の作業が止まる」
「ヘルプデスク業務まで抱えていて、仕組みの改善が後回しになる」

問い合わせ対応に追われる状態を整理するには、まずヘルプデスク業務がどこまでを指すのかを押さえておく必要があります。

情シスのヘルプデスク業務とは、社員から届くITの問い合わせに対応する仕事です。
社員が業務を続けられる状態を支える役割を担いますが、実際には受付から原因の調査までを情シスが通しで引き受ける形になりがちです。

そこで本記事では情シスとヘルプデスクの違いから、問い合わせごとに担当を決める手順までを解説します。
ヘルプデスク業務の負担を見直す際の参考にしてください。

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「日中は問い合わせ対応で埋まり、改善に着手できない」
「どこまでを情シスで受けるべきか決めきれない」

どこまでを情シスで引き受けるかは、社内の事情だけでは判断しづらいものです。
しかし他社が同じ問い合わせをどう扱っているかが分かると、線引きの基準は自ずと決まってきます。

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情シスとヘルプデスクの違い

情シスとヘルプデスクは、社内で混同されやすい2つの言葉です。
この2つの関係を先に整理しておくと、業務範囲の線引きも決めやすくなります。

組織と業務という区分

情シスは組織を指す言葉であり、ヘルプデスクは情シスが担う業務のひとつです。

これら2つが混同される理由は、社員が情シスと接する場面の偏りにあります。
IT戦略の立案もサーバーの保守も社員の目には触れません。
問い合わせに答える場面だけが表に出るため、情シスの仕事全体がヘルプデスクだと受け取られていくのです。

実際の情シスは、計画から運用までを受け持つ部門です。
一方のヘルプデスクは、情シスの業務のうち社員からの問い合わせに対応する部分のみを指します。

情シスとヘルプデスクの区分を社内で共有しておくと、情シスへ届く依頼の内容が変わります。
ヘルプデスクが情シスの全体像だと受け取られている組織を想像してみてください。システムの企画や投資の相談が別の部署だけで進んでしまう状態に陥ります。
部門の本来の役割を先に伝えておけば、企画の段階から声がかかるようになります。

関連記事:情シスと社内SEの違いとは?役割や業務範囲を解説

違いの早見表

2つの違いを5つの軸で整理しました。

比較する軸情シスヘルプデスク
位置づけ社内のITを受け持つ組織情シスが担う業務のひとつ
対応する範囲計画、構築、運用、サポート問い合わせの受付と解決
時間軸数年単位の計画も扱う受付から解決までの当日単位
求められる力投資の判断とベンダーの選定原因の切り分けと説明のわかりやすさ
成果の測り方システムの稼働率と投資対効果解決までの時間と自己解決率

表を通して見ると情シスは組織を指し、ヘルプデスクは業務を指すという違いがはっきりします。
情シスは組織として評価され、ヘルプデスクは業務として評価される対象です。
これら2つを明確に区別したうえで話し合うと、担当範囲の議論も進めやすくなります。

なかでも実務に効くのは、成果の測り方の違いです。
情シスの成果はシステムの稼働率や投資対効果で示されます。
一方のヘルプデスクは、解決までの時間と自己解決率で測る領域です。
もしこれら2つの指標を混ぜて評価してしまうと、単なる問い合わせ件数の多さが働きの量として扱われてしまいます。

ヘルプデスクが情シスの業務に含まれる背景

問い合わせを解決するには権限が必要になります。

パスワードの再発行にはID管理者の権限が要り、無線LANの設定変更にはネットワーク機器への権限が要ります。
そして必要な権限を持っているのは情シスです。
このように権限が情シスに集まっている以上、解決の依頼も最後は情シスへ届くことになります。

一方で、受付と状況の聞き取りまでは権限を伴いません。
この前半の工程を切り出せるという点が、負担を減らす余地につながります。

関連記事:ヘルプデスクとは?種類・業務内容・設置メリットから効率化まで解説


情シスが担うヘルプデスク業務の範囲

ここからは情シスが受け持つヘルプデスク業務の中身を、種類ごとに見ていきましょう。

問い合わせの種類と対応内容

寄せられる問い合わせは、主に5つの種類に分けられます。

種類代表的な内容届き方解決に必要な権限
アカウントと認証パスワードの再発行、多要素認証の再設定、権限の追加毎日ID管理者の権限
端末と周辺機器起動しない、印刷できない、外部ディスプレイが映らない毎日端末管理者の権限
ネットワークと通信無線LANにつながらない、VPNが切断される週に数件ネットワーク機器の設定権限
業務システムの操作入力方法がわからない、エラーが表示される毎日システム管理者の権限
セキュリティ事象不審なメールが届いた、端末を紛失した随時全社への通知と端末の遠隔操作

これら5つのうちセキュリティ事象を除く4種類は、対応の手順が決まっています。
対応の型を用意しておけば、情シス以外の担当でも回せる領域です。

一方でセキュリティ事象は、都度の判断を伴います。
被害の範囲を見極めて全社に通知するかを決める工程は、部門の責任として情シスに残る部分です。

一次対応と二次対応の境界

問い合わせ対応は、大きく2つの工程に分かれます。

  • 一次対応
    受付と状況の聞き取りや既知の手順による解決、原因の切り分け
  • 二次対応
    設定変更や原因の調査、ベンダー連携や恒久的な対策

もし境界を決めていない組織であれば、受付から恒久対策までを同じ担当者が1人で担うことになります。
あらかじめ工程を分けておくと、情シスが対応を引き取る地点もはっきりするはずです。

境界を決める目安になるのは、権限と判断の有無でしょう。
どちらも要らない工程は一次対応とし、どちらかが必要なら二次対応とします。
このように境界を1つ決めるだけでも、依頼の流れは整っていきます。

業務時間に占める割合

実態として、ヘルプデスク業務は情シスの業務時間のうち大きな部分を占めています。

キヤノンマーケティングジャパンの調査に、情報システム部門の業務のうちヘルプデスク業務が占める割合を尋ねた設問があります。
調査結果によると20〜30%未満が24.3%で、30%以上が23.3%という回答でした(出典:Web担当者Forum「情シスの約半数が『社内ヘルプデスク業務が20%以上を占めている』と回答」2024年10月)。
つまり、合わせて47.6%が業務の2割以上をヘルプデスクに使っている計算になります。

同調査では社内ヘルプデスク業務に課題を感じている担当者が64.8%にのぼりました(出典:キヤノンマーケティングジャパン「情報システム部門の『社内ヘルプデスク業務』に関する実態調査」2024年10月)。
調査対象は従業員300〜1,000名の企業に勤める情報システム部門の担当者108名です。

ここで見るべきなのは割合の大きさよりも、内訳を正確に把握できているかどうかです。
2割を超えていて内訳が分からない状態であれば、まずは問い合わせの棚卸しから着手する価値があります。


ヘルプデスク業務が負担になる原因

課題を感じている担当者が6割を超える一方で、その原因は「件数の多さ」だと考えられがちな領域です。
実際に業務時間を奪っているのは、受け方と記録の仕方にある以下の5つの要因になります。

原因現場での現れ方効く打ち手
問い合わせ窓口の分散同じ障害の連絡が複数の経路から重複して届く受付を1か所に集約する
同じ質問の繰り返し月に何十回も同じ内容の回答を書いているFAQと手順書で社員の自己解決に回す
対応者による回答の差社員が特定の担当者を指名して連絡してくる回答の型と判断の基準をそろえる
個人の受信箱に残る対応記録半年前に解決した障害を一から調べ直している履歴を共有の場所に集める
割り込みによる計画業務の中断設計や検証が予定どおりに進まない受付の時間帯を区切る

これら5つは独立した問題ではなく、実は上から順につながっています。
窓口が分散していれば件数の全体像は見えず、件数が見えなければ繰り返しの質問も特定できません。
表の上から順に手を打つと、下の原因も一緒に解消していきます。

問い合わせ窓口の分散

最初の要因は、問い合わせが届く経路がばらばらになっている状態です。

受付経路が分かれると、件数の全体像が見えなくなってしまいます。
メールやチャットや内線など複数の経路に散らばった依頼は、誰がいくつ抱えているかを把握しにくくさせます。

もし同じ障害の連絡が3人から別の経路で届くと、3件として個別に対応してしまうことになります。
こうした重複を受付の段階で判別するには、受付を1か所に集めておく必要があります。

注意すべき点として、窓口の一本化は問い合わせの件数を直接減らす施策ではありません。
件数を正確に数えられる状態をつくる施策として、最初に着手する価値があります。

同じ質問の繰り返し

2つ目は、一度答えた内容が何度も尋ねられる状態です。

パスワードの再発行や無線LANの接続設定は、社員にとって年に数回の作業です。
社員にとっては手順を覚える機会がないため、毎回情シスに尋ねるほうが速いと判断されてしまうのです。
一方で情シス側から見れば、同じ回答を月に何十回も書いている状態になります。

この繰り返しの質問は、削減の余地が最も大きい領域です。
回答を社員が自分でたどれる場所に置けば、問い合わせの件数は目に見えて減ります。

対応者による回答の差

3つ目は、担当者ごとに回答の内容や粒度が変わる問題になります。

同じ質問に対してAさんは設定変更で解決し、Bさんは端末の再起動で回避するとします。
このように対応が分かれると、社員側には「人によって答えが違う」という印象が残るものです。
問い合わせ窓口への信頼が下がると、社員は個人的に頼れる担当者を指名し始めます。

結果として、特定の担当者に依頼が集中していきます。
こうした依頼の集中を和らげるには、あらかじめ回答の型をそろえておきましょう。

個人の受信箱に残る対応記録

4つ目は、やり取りが個人のメールやチャットに閉じている状態です。

記録が個人の手元にある状態では、組織としては何も蓄積されません。
半年前に同じ障害を解決していても、担当者が思い出せなければ調査は一からやり直しになります。
休暇中の担当者宛てに届いた依頼は、復帰まで止まったままです。

対応履歴を共有の場所に残すだけで、過去の回答は次の対応に使えるようになります。
次の1件を数分で片づけるには、誰もが検索できる形で置いておきましょう。

割り込みによる計画業務の中断

5つ目は、情シスの負担を最も大きくしている要因です。

先のキヤノンマーケティングジャパンの調査でも、感じている課題として「ヘルプデスク対応に時間を取られ他の進めたい業務が進められない」を挙げた担当者が62.9%で最多でした。
次いで「特定のスタッフが休暇や退職した場合対応が困難になる」が57.1%で、「人手不足により一人当たりの負担が大きい」が55.7%となっています。

たとえ1件あたりの対応が数分で済んだとしても、割り込みが発生するたびに手元の作業は中断してしまいます。
とくに設計や検証のような集中を要する業務では、再開までに時間がかかるものです。
実際に失われている時間は、対応時間の合計を大きく上回ります。

逆に言えば、割り込みを減らせたときの効果は対応時間の削減分を上回ります。
受付時間を区切る運用だけでも、計画業務に充てられる時間は増えるはずです。


負担を放置した場合のリスク

目の前の対応が回っているうちは、問題は表面化しません。
しかし、課題を先送りにした場合に現れる4つのリスクについて確認しておきましょう。

これら4つはいずれも、時間が経ってから一度に表面化する性質を持っています。
担当者の退職と同時に引き継ぎの問題が露呈し、社内評価の低下も同じ時期に重なります。
だからこそ、前もって手を打てるかが分かれ目になります。

対応内容の引き継ぎ困難

最も現実的なリスクが、担当者が不在になった瞬間に業務が止まる状態です。

当然ですが、記録が残っていない対応は引き継ぎの対象にできません。
どの社員にどんな例外対応を認めてきたか、あるいはどのベンダーに何を任せてきたか。
担当者の記憶だけにある情報は、引き継ぎ資料に書き出す時間がないまま消えていきます。

先の調査で「特定のスタッフが休暇や退職した場合対応が困難になる」が57.1%を占めた背景も同じです。
対応履歴と例外の判断根拠を日頃から残しておけば、担当が変わっても同じ品質を保てます。

関連記事:情シス業務の属人化とは?原因とリスク、効果的な6つの解決策を紹介

担当者の離職

2つ目は、負担の偏りが人材の流出につながる問題になります。

問い合わせ対応は、成果が数字で残りにくい業務です。
件数をこなしても評価につながらず、計画的な仕事に着手する時間もない。
このような状況が続くと、担当者は社内での成長機会を感じにくくなります。

株式会社インターネットイニシアティブの調査では、情シス・DX部門において約80%が人材不足を認識していました(出典:IIJ「情シス・DX部門の人材不足に関する調査」2025年6月)。
そのため、採用で穴を埋める前提に立つのは現実的とはいえません。
いまの担当者が働き続けられる負荷に整えるほうが、確実な打ち手になります。

窓口として機能していないという社内評価

3つ目は、社内からの評価に関わるリスクです。

情シスが多忙になると、回答までの時間は当然伸びていきます。
しかし、社員の側からは繁忙の事情は見えません。
見えているのは「連絡しても返ってこない」という事実だけです。

情シスへの評価が下がると、社員は情シスを通さずに自分で解決しようとします。
無断で外部サービスを契約する、あるいは私物の端末で業務データを扱うようになります。
このように情シスが把握していないIT利用は「シャドーIT」と呼ばれます。
把握できない利用が増えるほど、セキュリティ上の穴も広がっていくものです。

窓口としての信頼は回答の速さよりも、いつ対応するかを伝えることで保てるものです。
受付した事実と対応の見込みを返すだけでも、社員の受け取り方は変わります。

セキュリティ対策と改善施策の後回し

4つ目は、部門が本来担うべき業務が進まない問題です。

脆弱性への対応やアカウントの棚卸しは、期限に追われる業務ではありません。
問い合わせ対応と並べれば、優先されるのは常に目の前の依頼になってしまいます。
結果として、着手が遅れた領域から事故は起こるものです。

業務改善やシステムの企画もこれと同じ構造にあります。
後回しになっている業務へ着手するには、まずヘルプデスク業務の担当を整えることが条件となります。


ヘルプデスク業務を切り分ける手順

課題の原因が問い合わせの受け方と記録の仕方にあるなら、打ち手も受け方を決め直すところから始まります。
株式会社デジタルハックが支援の現場で用いている手順を、3つのステップに整理しました。

ステップ1 問い合わせの棚卸し

出発点は、いま届いている問い合わせを正確に数えることです。

感覚だけで議論を始めると、対策は精神論や心構えの話になりがちです。
「忙しい」を「月に何件で1件あたり何分」という数値に置き換えると、打ち手の優先順位は自然に決まってきます。

記録する期間は2週間で足ります。
月初や期末に偏る問い合わせを拾うため、繁忙期を含む2週間を選びましょう。
集計する項目は次の4つです。

  • 内容の種類
    先の表で示した5つの種類のどれに当たるかを記録します。
  • 届いた経路
    メールやチャットなどどこから来たかを残してください。これが窓口を一本化する際の判断材料になります。
  • 解決までの所要時間
    受付から完了までの実時間を分単位で書き留めます。
  • 解決に必要だった権限
    管理者権限や判断が要ったかを記録しましょう。これが次のステップで対応主体を決める鍵になります。

2週間分がそろうと、上位3種類だけで全体の半分以上を占める構図が見えてきます。
そして大抵の場合、上位に来るのはアカウントと認証に関する問い合わせです。

記録の形は、表計算ソフトの1シートで足ります。
書式の例を挙げましょう。

経過日内容の種類届いた経路所要時間必要だった権限
1日目アカウントと認証チャット10分ID管理者の権限
1日目端末と周辺機器口頭45分端末管理者の権限
2日目業務システムの操作メール15分権限は不要
2日目ネットワークと通信内線60分ネットワーク機器の設定権限

項目を増やしすぎると、記録の作業自体が負担になってしまいます。
4項目に絞って2週間続けると、集計まで到達しやすくなるはずです。

ステップ2 対応主体の判定

次に、棚卸しした問い合わせを受け手ごとに振り分けます。

判定に使うのは、ステップ1で記録した権限と判断の有無です。
手順が固まっているかや権限が要るか、影響が全社に及ぶかを確認します。
この3つの問いで受け手はほぼ決まります。

問い合わせの性質望ましい受け手判断の目安
手順が固まっていて権限が不要社員の自己解決FAQと手順書を用意すれば社員が完結できる
手順が固まっていて権限が必要一次対応の担当作業内容を定義できるため社内の窓口担当や外部でも回せる
都度の判断や原因の調査が必要情シス前例のない事象や設定変更の判断を伴う
全社への影響や対外的な報告を伴う情シスの責任者通知の範囲と時期を決める権限が要る
夜間や休日に発生する外部の委託先社内で当番を組むより負荷を平準化しやすい

表の分類は統計上の区分ではなく、支援の現場で整理した傾向です。
業種やシステム構成によって振り分けの結果は変わります。

振り分けで見落としやすいのが、1行目の自己解決です。
件数の多い問い合わせほど手順が固まっているため、社員へ渡せる余地は大きくなります。

具体例を挙げましょう。
パスワードの再発行は手順が固まっていて権限も要るため、一次対応の担当が受ける形が適します。
業務システムの権限設計を変える依頼は、どの社員にどこまで公開するかを決める判断を伴うため情シスが受ける領域です。

ステップ3 移管と定着

振り分けたあとは、移した先で回り続ける状態をつくります。

一次対応の担当から情シスへ案件を引き継ぐ流れを、エスカレーション(上位の担当へ引き渡すこと)と呼びます。
移管が定着しない主な原因は、引き渡し方を明確に決めていない点です。
たとえば一次対応の担当が判断に迷ったとき、どの時点で情シスへ渡すか。
基準がないと担当者は自力で抱え込むか、あるいは案件を丸ごと情シスへ転送するかを選ぶことになってしまいます。

移管と同時に次の3点を決めておきましょう。

  • 時間による基準
    受付から30分で解決の見込みが立たない場合は情シスへ渡すといった目安を置きます。
  • 影響範囲による基準
    複数名から同じ症状の連絡が届いた時点で、障害としてただちに情シスへ上げてください。
  • 権限による基準
    一次対応の担当に付与する権限の範囲を明記し、範囲外の作業は情シスが引き取る形にしましょう。

こうした基準を明文化しておくと、移管後の問い合わせも滞りなく処理されます。
同時に、一次対応で解決できた件数も記録に残していきましょう。
数字が積み上がると、次に移す範囲の判断もしやすくなるはずです。

最初に着手する問い合わせ

これら3つのステップを一度に進めるのは、現実的とはいえません。
着手する順序を決めましょう。

件数が多く判断を伴わない問い合わせを優先すべきです。
代表例は、アカウントと認証に関する依頼になります。
手順が完全に固まっているため、FAQの整備だけでも問い合わせの件数は減り始めます。

逆に、セキュリティ事象や前例のない障害から手をつけるのは避けたい進め方です。
判断を伴う領域は移管の設計に時間がかかり、成果も見えにくくなります。
そのため、件数の多い領域で効果を確かめてから範囲を広げていく順序が確実です。

ヘルプデスク業務の切り分けなら「情シス君」
問い合わせの棚卸しからご一緒します

「棚卸しに手をつける時間が取れない」
「種類は分けられたが、どこまで外へ出せるか判断がつかない」

棚卸しは、記録を取る手間と判断の基準づくりが同時に発生する作業です。
外から手が入ると、着手までの時間は短くなります。

現状の共有だけでも構いません。
専門のコンサルタントが問い合わせの内容と件数をうかがい、社内で受ける範囲と移せる範囲を切り分けたうえでご提案します。

棚卸しの進め方からご一緒しますので、ぜひお声がけください。

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負担を減らす方法

担当の切り分けと並行して、日々の負担を直接軽くする手立ても打てます。
効果が出やすい順に5つ挙げていきましょう。

方法効果が表れるまで必要な準備向いている状況
問い合わせ窓口の一本化数週間専用のアドレスかチャンネルの用意と全社への周知件数を把握できていない
FAQと手順書による自己解決1〜3か月上位の質問への回答の書き起こし同じ質問が繰り返し届く
問い合わせ管理ツールの導入1〜3か月ツールの選定と起票の流れの設計対応漏れが起きている
対応履歴のナレッジ化3か月以上履歴を見直す時間の確保調査に時間がかかっている
一次対応の外部化1〜2か月委託する範囲と情シスへ戻す基準の取り決め割り込みで計画業務が進まない

上記の表は、着手のしやすさの順に並べたものです。
とくに上の2つは費用をかけずに始められるため、まず取りかかる価値があります。

問い合わせ窓口の一本化

最初に着手したいのは、受付経路をひとつにまとめる取り組みです。

窓口を集約すると、件数と傾向が数字で見えるようになります。
これが改善の効果を測る前提にもなるため、ほかの4つより先に着手したい項目です。

進め方は、専用のアドレスかチャットのチャンネルを1つ用意するところからです。
席まで来ての口頭依頼は、窓口へ入れ直してもらう運用に切り替えましょう。
「記録に残すため」と理由を添えて周知すると、協力は得やすくなります。

FAQと手順書による自己解決

2つ目は、社員が自分で解決できる範囲を広げる方法になります。

繰り返し届く質問は、回答がすでに固まっているものです。
同じ文面を毎回書く代わりに、社員がたどれる場所へ置いておけば済みます。

整備のコツは、まとめて作らない点です。
問い合わせを受けた時点で回答を1ページに書き起こしていけば、無理なく積み上がります。
効果を早く出すには、棚卸しで判明した上位3種類から着手しましょう。

公開する場所は、社員が普段使うツールの中に置きましょう。
別のシステムへログインする形にしてしまうと、情シスに尋ねるほうが速くなってしまいます。

関連記事:情シスの業務効率化7つの方法|メリットや進め方について解説

問い合わせ管理ツールの導入

3つ目は、受付から完了までを1か所で追える仕組みを入れる方法です。

メールでの管理には限界があります。
対応中か放置中かの状態は受信箱を見るだけでは判別できません。
管理ツールを使えば、担当者と状態を一覧で確認できます。

導入時に重視したいのは、社員側の入力負荷です。
専用フォームへの入力を必須にすると、窓口を避けて個別に連絡する社員が増えます。
定着させるには、普段使いのチャットから起票できる仕組みを選びましょう。

対応履歴のナレッジ化

4つ目は、蓄積した履歴を次の対応に生かす取り組みになります。

履歴を残すだけでは、次の対応には使えません。
検索して見つかる状態まで整えると、過去の回答を再利用できるようになります。

実務では、月に一度履歴を見直す時間を取りましょう。
同じ内容が3件以上あればFAQへ、原因が特定できた障害は対応手順へ。
振り分ける作業を習慣にすると、FAQと対応手順は着実に増えていきます。

一次対応の外部化

5つ目は、受付と切り分けの工程を社外に移す方法です。

先の調査でも、ヘルプデスク業務の効率化に向けて「ヘルプデスク業務を外部の専門業者に委託する」を挙げた担当者は25.9%でした。
これは「情報システム部門の人員を増強する」の28.7%と近い水準にあり、委託は選択肢として定着しつつあります。

外部化が効くのは、情シスへの割り込みを減らせる点にあります。
受付の工程が社外に移れば、情シスの手元に届くのは判断が必要な案件だけです。
集中を要する業務に充てられる時間は、対応時間の削減分を超えて増えます。

委託の判断基準と進め方は、後の章で詳しく扱います。


体制別に見る運用の落としどころ

切り分けの理想形は同じでも、実行できる範囲は体制によって変わります。
代表的な3つの体制ごとに、現実的な着地点を整理しました。

これらは優劣を示すものではありません。
事業の規模やITへの依存度によって、適した形が変わってくるためです。

体制現実的な一次対応の持ち方最初の打ち手外部へ出しやすい範囲
総務や経営企画の担当者がITを兼務する体制社員の自己解決を最大化し、残りを兼務担当が受けるFAQと手順書の整備権限を伴う作業の全般
1〜2名で全体を見る体制受付を窓口に集め、判断を伴う案件だけを引き取る窓口の一本化と受付時間の設定一次対応と夜間休日の対応
情報システム部門を独立した組織として置く体制部門内で一次対応と二次対応を分け、担当を固定しない対応履歴のナレッジ化と担当の輪番繁忙期のスポット対応

総務や経営企画の担当者がITを兼務する体制

ITを本務と並行して見る体制では、対応に使える時間が読みにくくなります。

本務の締め切りが迫れば、どうしても問い合わせへの回答は後回しになります。
件数を受け止める余裕がないため、まず社員側で解決できる範囲を広げましょう。

有効なのは、上位の質問だけを絞ってFAQにする進め方です。
アカウント関連と端末関連の2種類を押さえるだけで、届く件数はかなり動きます。
権限が要る作業は、外部の支援に回す前提で設計しておきましょう。

関連記事:ゼロ情シスとは?IT担当者不在のリスクと解消までの5ステップを解説

1〜2名で全体を見る体制

2つ目は、専任の担当が少人数で社内IT全体を受け持つ形です。

この体制は全体像を把握している強みがある一方で、判断と実行が同じ人に集中してしまいます。
問い合わせ対応は実行の側にあるため、優先されて計画業務を押し出す構図になりがちです。

打ち手の中心は、受付の設計になります。
窓口を1つに集め、緊急でない依頼を受け付ける時間帯を決めましょう。
午前は対応で午後は計画業務のように区切るだけでも、中断の回数は減ります。

一次対応を外部へ移す判断も、少人数の体制では効果が大きくなります。
受付が社外に移れば、手元に届くのは判断が必要な案件に絞られるためです。

関連記事:ひとり情シスはなぜつらい?現場が抱える課題と解決策をわかりやすく解説

情報システム部門を独立した組織として置く体制

3つ目は、部門として複数名の人員を持つ形になります。

人員に余裕がある体制であっても、担当者を固定してしまうと属人化は起こるものです。
「ネットワークのことは必ずAさん」という状態が続くと、休暇のたびに対応が止まってしまいます。

部門内で一次対応と二次対応を分け、一次対応は輪番で回しましょう。
全員が受付を経験すると、社員側の困りごとも共有されていきます。
同時に、対応履歴のナレッジ化を仕組みとして定着させる余力もある体制です。

外部の活用は、繁忙期に絞る形が向いています。
入社時期や拠点の移転など、件数が跳ねる期間だけスポットで補いましょう。

これら3つの体制に共通するのは、着手する順序を体制に合わせて選ぶ点です。
理想の形を一度に目指すより、いまの人員で回る範囲から始めるほうが定着します。


外部活用の判断基準と進め方

一次対応の外部化を検討する段階で、判断に迷う点を整理しておきましょう。

外部へ出しやすい問い合わせの見極め方

具体的に委託に向くかどうかは、作業内容を文章で定義できるかで決まります。

手順が固まっている作業は、範囲と品質を契約で決められます。
前例のない事象や投資の判断は、自社の事情を踏まえて社内で決めるのが基本です。
判断は社内に残して実行の一部は外部へ渡す、というのが整理の軸になります。

工程委託への向き理由
受付と状況の聞き取り向いている手順を定義しやすく、権限も限定できる
既知の手順による解決向いている作業内容と完了条件を契約に書き込める
原因の切り分け条件つきで可能権限の範囲を明記すれば任せられる
設定変更や恒久対策の決定社内で判断自社のシステム構成と方針を踏まえる必要がある
全社への通知や対外報告社内で判断経営判断と対外的な責任が伴う

表の下2行の工程を社内に残しておけば、判断の経験は社内に蓄積されます。
実行の工程を移しても、意思決定の経験は社内に残るはずです。

関連記事:ヘルプデスクのアウトソーシングとは?メリット、サービス内容、選び方を紹介

委託形態の選び方

委託の形は、大きく3つに分かれます。

形態対応の仕方向いている状況
常駐型委託先の担当者が自社に出向いて対応する現場での端末対応が多く、拠点が集中している
リモート型電話やチャット、遠隔操作で対応する問い合わせの多くが設定や操作の確認で完結する
スポット型繁忙期や特定の作業だけ依頼する入社時期や拠点移転など、件数が跳ねる期間がある

選ぶ際は、棚卸しで記録した内容の種類を見返しましょう。
設定や操作の確認が中心なら、リモート型で十分です。
端末の物理的な交換が多い場合は、常駐型を含めて検討する形になります。

なお、外部委託の費用は対応する範囲と受付時間によって変わるものです。
月額をそろえて見るには、標準で対応する作業の範囲と受付時間の条件をそろえる必要があります。
削減できる工数を人件費に換算した金額と比べてみましょう。

関連記事:情シスアウトソーシング比較21選!代行・外注のメリットと選び方を徹底解説

委託前に決めておくこと

契約前に固めておきたい項目は3つです。

  • 対応範囲と範囲外の扱い
    標準で対応する作業と、追加費用が発生する作業の線引きを具体的に確認します。
  • 受付時間と一次回答までの目安
    問い合わせを受け付ける時間帯と、最初の返答までの目安時間を取り決めてください。
  • 情シスへ戻す基準と共有の方法
    判断が必要な案件をどの時点で社内に戻すか、履歴をどの頻度でどの形式で共有するかを決めましょう。

とくに3点目を曖昧にしたまま運用を始めると、知見が社外にだけたまる状態になりかねません。
戻す基準と共有の形を先に決めておけば、委託しながら社内にノウハウを残せます。

契約後の運用では、月に一度の振り返りの場を設けましょう。
件数の推移と、情シスへ引き渡した案件の内容を一緒に確認します。
振り返りを重ねると、次に移せる範囲も見えてくるはずです。

ヘルプデスクの一次対応の委託なら「情シス君」
任せられる範囲と費用の目安をご提示します

「一次対応だけを任せられるサービスを探している」
「委託したあと、社内に知見が残るか不安がある」

委託の範囲をどこで切るかによって、社内に残る判断の経験は変わります。
範囲と引き渡しの条件を先に決めておけば、知見は社内に積み上がります。

「IT顧問 情シス君」は問い合わせの一次対応から端末管理やネットワーク保守までご支援が可能です。
判断を社内に残したまま実行の工程だけを移す形での設計も、あわせてご相談いただけます。

任せられる範囲を具体的に確かめたい方は、ぜひお問い合わせください。

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情シスのヘルプデスク業務に関するよくある質問

最後に、ヘルプデスク業務について寄せられる質問をまとめました。

ヘルプデスク業務は情シスの仕事に含まれますか

含まれます。
情シスは社内のITを受け持つ組織で、ヘルプデスクは情シスが担う業務のひとつです。
ただし、すべての工程を情シスが抱える必要はありません。
権限も判断も要らない受付や既知の手順による解決は、社員の自己解決や外部の担当へ移せます。

対応に割く業務時間の目安は何割ですか

一律の基準はないものの、2割を超えている場合は見直しの余地があります。
調査結果によると20〜30%未満が24.3%で、30%以上が23.3%でした。
3割を超えているなら、まず問い合わせの棚卸しから着手しましょう。

窓口はメールとチャットのどちらが向いていますか

社員が普段使っているツールに合わせるのが基本になります。
チャットを日常的に使う組織なら、専用チャンネルのほうが起票の手間がかかりません。
形式よりも、窓口を1つに絞って記録が残る状態にすることが重要です。
経路をそろえると、件数も傾向も数えられるようになります。

一次対応だけを外部に任せられますか

任せられます。
受付から既知の手順による解決までは作業内容を定義しやすいため、委託しやすい工程です。
判断が必要な案件を社内へ戻す基準と履歴の共有方法を、契約時に決めておきましょう。
この2点を押さえておけば、委託しながら社内に知見を残せます。

件数が減らないときの見直し先はどこですか

まずは受付の経路を確認してください。
経路が分かれたままでは、件数を正確に数えられません。
窓口を一本化して2週間分を記録すると、上位3種類で全体の半分以上を占める構図が見えてきます。
上位から順にFAQへ移していくのが、最も効果の出やすい進め方です。

担当者の退職時に引き継ぐべき内容は何ですか

手順書と例外の判断根拠に加えて、未完了の案件を引き継ぐべきです。
とくに残りにくいのが、特定の社員や部署に認めてきた例外対応の経緯です。
誰に何をどんな理由で認めたかを一覧にまとめておくと、後任は同じ基準で判断できます。
あわせて、ベンダーとの連絡先と取り決めの内容も文書に残しましょう。


まとめ|ヘルプデスク業務は切り分け方で負担が変わる

情シスが担うヘルプデスク業務の範囲と負担を減らす進め方を、本記事では解説しました。
要点を振り返ります。

  • 情シスとヘルプデスクの関係:情シスは組織/ヘルプデスクは情シスが担う業務
  • 負担になる原因:窓口の分散/質問の繰り返し/回答の差/記録の個人保有/割り込みによる中断
  • 放置した場合のリスク:引き継ぎの困難/担当者の離職/社内評価の低下/対策と改善の後回し
  • 担当を決める手順:2週間の棚卸し/権限と判断による担当の判定/引き渡し基準を決めた移管
  • 負担を減らす5つの方法:窓口の一本化/自己解決の拡大/管理ツールの導入/ナレッジ化/一次対応の外部化

情シスの負担を決めているのは、単なる問い合わせの件数よりも担当の決め方です。
担当が決まると、同じ件数でも情シスの手元に残る作業量は減っていきます。

まずは2週間、届いた問い合わせを4項目で記録するところから始めてみてください。
数字がそろえば、次に移す範囲も社内で説明できるようになります。

また、記録は体制を見直す提案の根拠にもなるものです。
件数と所要時間を示せれば、増員や委託の必要性も数字で語れます。

ヘルプデスク業務の見直しは「情シス君」へ
現状の整理から体制づくりまでご支援します

「どこから手をつけるべきか決めきれない」
「社内だけで進めても形にならない」

問い合わせの棚卸しと切り分けは、社内の担当だけで進めると判断に迷う場面が続きます。
外部の視点が入ると、着手する順序を決めやすくなります。

「IT顧問 情シス君」は、株式会社デジタルハックが提供する総合IT支援サービスです。
現状の整理から一次対応の代行まで、ご一緒に進めます。

ヘルプデスク業務の見直しをお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。

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監修者:
デジタルハック 情シス総研
情シスリサーチアナリスト 伊藤俊介

伊藤俊介
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