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更新日:2026.09.29
情シス業務

情シスに必要なスキル10選|レベル定義とスキルマップの作り方を解説

「情シスに必要なスキル」を調べると、ネットワークからコミュニケーション力まで多くの項目が並びます。
一覧を前に、どこから手をつければよいか迷った方も多いでしょう。

ただし、全項目を同じ深さで身につける必要はありません。
担当する業務によって、求められる深さはまったく違うからです。

たとえばヘルプデスク中心の担当者と、IT投資を判断する責任者では、同じセキュリティの知識でも必要な水準が変わります。

本記事では、情シスに必要な10のスキルを到達レベルとあわせて解説します。
自分やチームの現在地を確かめながら、読み進めてみてください。

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スキルの全体像

情シスに必要なスキルを、まず全体像から確認しましょう。
個別の解説へ入る前に、10のスキルがどう分類され、どのレベルを目指すのかを押さえておくと理解が早まるはずです。

技術スキルとビジネススキル

情シスのスキルは、技術スキルとビジネススキルの2層に分かれます。

情シスに必要な10のスキルを技術スキル5つとビジネススキル5つの2層で整理した図

2層に分かれる理由は、仕事の性質にあるからです。
システムを動かし続ける作業と、社内の要望を形にする作業。
性質の異なる2種類が、同じ担当者に同時に求められるためです。

たとえばネットワークの障害では、機器の設定とログから原因を切り分ける技術スキルが要ります。
一方でセキュリティ対策の予算を通す場面では、投資の効果を経営層へ説明する力が問われるでしょう。

2層をそろえると、担当できる業務の幅は大きく広がります。
技術に強い担当者ほど、ビジネススキルを足したときの伸びしろも大きくなるものです。

レベルの定義

スキルは、到達度の段階で捉えると扱いやすくなります。

同じ「ネットワークがわかる」でも、指す状態の幅が大きいからです。
用語を知っている状態と、拠点間の回線構成を設計できる状態。
2つを分けて考えると、育成の計画も外部への依頼内容も決めやすくなります。

本記事では、スキルの到達度を4段階で定義しました。

レベル状態判断の目安
レベル1 知っている用語と全体像を理解している説明を聞いて内容を把握できる
レベル2 できる手順があれば作業を完了できる定型作業を一人で終えられる
レベル3 任せられる手順がない場面でも判断して進められる障害対応や機器の選定を一人で担える
レベル4 設計できる方針を決め、他者に教えられる社内標準を作り、ベンダーへ展開できる

4段階は公的な基準ではありません。
社内の等級制度に合わせて、言葉は自由に調整してください。

目安として、レベル3に届いていれば担当業務を一人で回せます。
レベル4が必要になるのは、社内標準やセキュリティ方針を決める立場になった段階でしょう。

スキル一覧

10のスキルを、担当業務との対応と到達レベルの目安で一覧にまとめました。

スキル主に使う業務到達レベルの目安習得の優先度
1. ITインフラの基礎知識ネットワークとサーバーの運用保守レベル3高
2. 情報セキュリティ対策の設計、インシデント対応レベル3高
3. IT資産とアカウント管理端末管理、入退社時の対応レベル3高
4. 業務システムとSaaSシステムの選定、部門からの相談対応レベル2中
5. 自動化とデータ活用定型作業の削減、集計と可視化レベル2中
6. ヒアリング力要件定義、部門からの依頼受付レベル3高
7. 課題解決力障害対応、原因の切り分けレベル3高
8. マネジメント力システム導入、ベンダー管理レベル2中
9. コミュニケーション力社内調整、ヘルプデスクレベル3高
10. 説明力予算の申請、経営層への報告レベル2中

優先度が高い6つは、担当になった直後から使う場面が訪れる領域です。
インフラ・セキュリティ・資産とアカウントの管理・ヒアリング・課題解決・コミュニケーション。
6つを先にレベル3へ引き上げると、日常業務は安定します。

優先度が中の4つは、担当範囲が広がる段階で必要になるでしょう。
日常業務が回るようになってから取りかかるほうが、知識は定着しやすいはずです。

体制による違い

必要なレベルは、企業の体制によって変わります。

変わる理由は、担当者が受け持つ業務の幅にあるからです。
1〜2名で全体を見る体制では10項目すべてに触れる一方、領域ごとに担当を分ける体制では2〜3項目を深く掘る形になります。

1〜2名で全体を見る体制の場合、レベル3を10項目そろえる必要はありません。
外部に任せる領域を先に決めておけば、自社で高めるべき項目は絞り込めます。

体制ごとの目安は、業務別の必要レベルを扱う章で改めて整理しましょう。

関連記事:情シス部門とは?仕事内容7つと役割・体制別の課題を徹底解説


技術スキル

技術スキル5つを、必要とされる理由と到達の目安まで解説します。
どれも情シスの日常業務に直結する領域でしょう。

1. ITインフラの基礎知識

1つ目は、ネットワークとサーバー、クラウド環境を扱う知識になります。

土台に置く理由は、情シスへ届く相談の入口がインフラだからです。
「つながらない」「遅い」という申告は、端末とネットワーク、クラウドのどこに原因があるかを切り分けるところから始まります。

必要な知識は、TCP/IPやDNSといった通信の仕組み、無線LANとVPNの設定です。
サーバーとクラウドの基本構成、監視画面の見方もあわせて押さえておきましょう。
端末側のハードウェア構成とOSの設定、コマンドでの状態確認も同じ土台に含まれます。

到達の目安はレベル3。
自力で原因を切り分け、必要な情報を添えてベンダーへ依頼できる状態を目指しましょう。

2. 情報セキュリティ

2つ目は、脅威から社内の情報を守る知識になります。

責任の重い領域とされる理由は、一度の事故が事業全体に及ぶためです。
取引先への説明、監督官庁への報告、システムの停止。
復旧までに要する時間と費用は、事前の対策に投じる金額を上回ります。

知識の中身は、技術面と組織面に分かれるものです。
技術面では脆弱性への対応、通信の監視、アクセス権限の設計を押さえましょう。
組織面はセキュリティポリシーの策定と、従業員への教育が該当します。
被害が出た場面で事業を続ける手順、いわゆる事業継続計画の策定も組織面の一部でしょう。

到達の目安はレベル3です。
自社の対策がどの脅威に効いているかを説明できれば、十分な水準に届いています。

関連記事:情報セキュリティ対策とは?基本の3要素や5つの対策方法を徹底解説

3. IT資産とアカウント管理

3つ目は、端末とライセンス、アカウントの状態を正確に把握する知識です。

管理の精度が下がると、費用とリスクの両面で実害が出ます。
使われていないライセンスへの支払いが続き、退職者のアカウントも残ってしまうためでしょう。

実務で必要になるのは、台帳の設計とMDM(端末を一括で管理する仕組み)による端末管理、入退社時の手順です。
権限をどの単位で付与するかを決める設計も含まれます。

到達の目安はレベル3。
台帳と実態が一致していれば、監査対応もセキュリティ確認も短時間で済むでしょう。

関連記事:IT資産管理とは?必要性やよくある問題、効率的な管理方法を解説

4. 業務システムとSaaS

4つ目は、社内で使う業務システムとSaaS(インターネット経由で利用する業務ソフト)に関する知識になります。

必要とされる理由は、部門からの相談が製品名で届くからです。
「他社が使っているツールを入れたい」という依頼に対し、既存環境との重複や連携の可否を判断する役目が回ってきます。

押さえておきたいのは、主要なSaaSの機能領域とデータ連携の方法でしょう。
認証基盤との連携可否、ログの取得範囲、契約単位の考え方も確認の対象です。
表計算やグループウェアなど日常的に使うアプリケーションの機能も、相談に答える土台になります。

到達の目安はレベル2。
全製品に詳しくなる必要はなく、比較の観点を持っていれば選定は進められます。

5. 自動化とデータ活用

5つ目は、繰り返し発生する作業を減らし、社内のデータを活かす知識です。

少ない人数で業務を回すうえで、効果が最も大きい領域といえます。
手作業を1つ自動化すると、削減効果は毎月積み上がっていくからです。

道具になるのは、PowerShellなどのスクリプト・RPA(定型のパソコン操作を自動で実行するツール)・ノーコードツールになります。
問い合わせ件数や資産情報を集計し、傾向を読むデータ活用も含めましょう。
生成AIを使った下書きの作成やログの要約も、現実的な選択肢になりました。

到達の目安はレベル2です。
担当業務のうち、月に数時間を削れる作業を1つ選ぶところから始めてください。


ビジネススキル

技術スキルに5つのビジネススキルを足すと、依頼を成果へつなげられるようになります。
5つは、担当者本人だけでなく責任者にとっても評価の軸になるものです。

6. ヒアリング力

6つ目は、依頼の背景にある業務課題を引き出す力になります。

重要とされる理由は、部門から届く依頼が手段の形をとるからでしょう。
「専用のツールを買ってほしい」という要望の裏に、月末の集計に時間がかかるという課題が隠れています。

依頼を受けた場面では、3点を確認しましょう。
誰がどの作業に困っているのか、いまはどう処理しているのか、どうなれば解決といえるのか。
3点が埋まると、既存システムの設定変更で足りるケースも見えてきます。

到達の目安はレベル3。
課題を言語化して依頼者と合意できれば、手戻りは大きく減るはずです。

7. 課題解決力

7つ目は、起きている問題の原因を切り分け、打ち手を選ぶ力になります。

情シスへ届く相談の多くは、原因が特定されていない状態で持ち込まれるからです。
「動かない」という申告を受けたら、端末とネットワーク、システムのどこに原因があるかを見極めるところから対応が始まります。

実務では、切り分けの手順を決めておきましょう。
再現する条件を絞り、影響範囲を確かめ、直前の変更を洗い出す。
3手順を毎回同じ順番で踏むと、原因にたどり着く時間は短くなります。

到達の目安はレベル3です。
同じ障害を繰り返さない仕組みまで設計できると、対応の総量も減っていくでしょう。

8. マネジメント力

8つ目は、システム導入やベンダーとのやり取りを計画どおりに進める力になります。

情シスの仕事の多くが、期限と予算のある取り組みだからです。
進行を管理する担当が決まっていない状態では、要件の追加が費用と期間を押し広げてしまいます。

押さえる要素は、範囲・期限・体制・リスクの4つでしょう。
とくにベンダーとの取り決めでは、対応範囲と追加費用の線引きを契約前に文書化してください。
進捗は週単位で確認し、遅れの兆候が出た時点で対策を打ちます。

到達の目安はレベル2。
小規模な導入を一度完了させると、必要な段取りは体感として身につくものです。

9. コミュニケーション力

9つ目は、技術の内容を業務の言葉へ言い換えて伝える力になります。

必要とされる理由は、情シスが全部門と接する位置にあるためでしょう。
経理にも営業にも、同じ内容を相手の業務に沿った言葉で説明する場面が続きます。

たとえばシステムの停止を告知するとき、「メンテナンスのため停止します」だけでは伝わりません。
「経費精算の申請が2時間できなくなるため、前日までに提出してください」と書けば、取るべき行動まで届きます。

到達の目安はレベル3です。
相手の業務に置き換えて話せるようになると、問い合わせの件数自体が減っていくでしょう。

10. 説明力

最後は、必要な投資を経営層に判断してもらうための説明力になります。

情シスの提案が通りにくい理由は、成果が数字で見えにくい点にあるからです。
トラブルが起きなかったという結果は、平時に評価されにくい性質を持ちます。

有効なのは、3つの切り口へ翻訳する方法でしょう。

  • 止めなかった損失
    システムが停止した場合に生じたはずの損失を試算します。稼働の維持を金額で示す切り口です。
  • 全社で生まれた時間
    問い合わせの削減を全従業員の時間に換算しましょう。情シスの負担軽減ではなく、全社の生産性として語れる形になります。
  • 将来のリスクへの備え
    サポート期限が近い機器を一覧で示し、対応しない場合の影響を添えてください。投資判断の材料として最も伝わりやすい形です。

到達の目安はレベル2。
金額と時間に置き換えて話せると、予算の議論は前に進むはずです。


新しく求められるスキル

10のスキルに加えて、求められる場面が増えた領域があります。
3つを押さえておくと、担当できる範囲はさらに広がるでしょう。

生成AIの利用ルール設計

1つ目は、生成AIを社内で安全に使うためのルールを設計する力です。

情シスに役目が回ってくる理由は、ツールを配るだけでは運用が始まらないためでしょう。
入力してよい情報の範囲、利用を認めるサービス、生成された内容の確認者。
3点を決める作業が情シスに集まります。

実務では、入力を禁止する情報の区分から着手してください。
顧客情報と未公開の経営情報を線引きし、利用してよいサービスを一覧で示します。

従業員の判断に委ねる範囲を狭めるほど、事故の芽は摘めるものです。
ルールを先に置けば、生成AIの活用は進めやすくなるでしょう。

SaaSの利用状況の把握

2つ目は、社内で使われているSaaSを把握し続ける力になります。

難易度が上がった理由は、各部門が個別に契約できる点にあるでしょう。
情シスが把握していないツールが社内で使われる状態は、シャドーITと呼ばれます。

対策の起点は、契約と支払いの情報を1か所へ集めることです。
認証基盤を通した利用に寄せると、アカウントの棚卸しも権限の確認も一括で行えます。

到達の目安はレベル2です。
利用状況が見えていれば、重複した契約の見直しにも着手できます。

外部リソースの設計

3つ目は、社内で担う業務と外部に任せる業務を切り分ける力です。

すべてを自社で抱える前提が崩れてきたためでしょう。
技術の範囲が広がり、1つの組織で全領域の専門性を維持する形は難しくなりました。

判断の軸は、判断が中心の業務か、手順で進められる業務かという区分です。
IT投資の方針やセキュリティ水準の決定は、自社の事業を理解した立場で下します。
一方で問い合わせの一次対応やキッティングは、手順を定義すれば任せられる領域でしょう。

判断は社内、実行の一部は外部。
切り分けを設計できる担当者は、限られた人数でも成果を出せます。

公的なスキル標準

自社でのスキル整理に迷ったときは、公的なスキル標準を土台にする方法も有効でしょう。

独立行政法人情報処理推進機構が公表する「デジタルスキル標準」では、DXを推進する人材を6つの類型に分けています(出典:IPA「DX推進スキル標準」ver.2.0 2026年4月)。

6類型は、ビジネスアーキテクト・デザイナー・データサイエンティスト・データマネジメント・ソフトウェアエンジニア・サイバーセキュリティです。
情シスの担当領域は、サイバーセキュリティとソフトウェアエンジニア、ビジネスアーキテクトに重なります。
データの安全性と流通を担うデータマネジメントも、IT資産やアカウントの管理と地続きの領域でしょう。

公的な区分に自社の業務を当てはめると、社内での説明がしやすくなります。
育成計画を人事部門と共有する場面でも、共通の言葉として使えるはずです。


必要レベルの目安

10のスキルと4段階のレベルを、実際の業務へ当てはめていきましょう。
担当業務にどのレベルが要るかがわかると、次に伸ばす項目も定まります。

業務別の一覧

情シスの主な業務ごとに、必要なスキルと到達レベルの目安を整理しました。

業務主に使うスキル必要レベルの目安
ヘルプデスクと問い合わせ対応ITインフラ、課題解決、コミュニケーションレベル2〜3
ネットワークとサーバーの運用保守ITインフラ、課題解決、自動化レベル3
端末とアカウントの管理IT資産とアカウント管理、自動化レベル3
セキュリティ対策とインシデント対応情報セキュリティ、説明力レベル3〜4
システムの選定と導入業務システムとSaaS、マネジメント、ヒアリングレベル2〜3
IT戦略の立案と予算の申請説明力、ヒアリング、マネジメントレベル3
業務改善とデータ活用自動化、ヒアリングレベル2

表を見ると、レベル3が求められる業務が多いとわかります。
裏を返せば、多くの業務はレベル3までで十分に回せるでしょう。

レベル4が要るのは、社内標準やセキュリティ方針を決める立場になった段階です。
担当業務の必要レベルを先に確かめると、学習の的も絞れます。

体制別の違い

必要なスキルの組み合わせは、体制によっても変わるものです。

体制求められる方向性優先して伸ばす項目
総務や経営企画の担当者がITを兼務する体制判断と外部への依頼を確実に行うヒアリング、説明力、情報セキュリティ
1〜2名で全体を見る体制広く押さえ、深い領域は外部と組むITインフラ、IT資産とアカウント管理、外部リソースの設計
情報システム部門を独立した組織として置く体制専門性と全体最適の両立情報セキュリティ、マネジメント、説明力
領域ごとに担当を分ける体制担当領域の深掘りと横断の連携担当領域をレベル4へ、コミュニケーション

複数の体制にまたがる企業もあります。
近い形を選んで参考にしてください。

関連記事:ひとり情シスはなぜつらい?現場が抱える課題と解決策をわかりやすく解説

目標設定の考え方

スキルの一覧を作ると、空欄を埋めたくなるものです。

ただし10項目すべてをレベル4へ引き上げる計画は、途中で止まりやすくなります。

止まる理由は、学習に使える時間の総量が決まっているからです。
対象を広げるほど、1項目あたりの前進は小さくなってしまいます。

現実的なのは、担当業務で必要なレベルまで引き上げ、残りをレベル1で止めておく形でしょう。
レベル1の項目でも、外部へ依頼する内容は判断できます。

対象を2項目に絞ると、半期で目に見える変化が出るはずです。
まずは担当業務で必要な項目を選んでください。


スキルマップの作り方

必要なスキルとレベルが決まったら、スキルマップに落とし込みましょう。

スキルマップとは、業務に必要なスキル項目と担当者ごとの到達レベルを一覧にした表です。
作成の目的は、育成の順番と外部に頼る領域を決める点にあります。
作成は4つのステップで進めてください。

スキルマップの作り方を業務の洗い出しから目標と期限の設定まで4ステップで示した図

ステップ1 業務を洗い出す

最初に、情シスが担っている業務を書き出しましょう。

スキルから考え始めると、自社で使わない項目まで並んでしまうからです。
業務を起点にすると、一覧は実態に沿った形で仕上がります。

洗い出しの単位は、月に1回以上発生する業務でしょう。
年に数回の作業は、末尾に別枠でまとめておきましょう。

書き出した業務の一覧が、スキルマップの土台になります。

ステップ2 スキルに分解する

次に、洗い出した業務を担うために必要なスキルへ分解しましょう。

分解の粒度をそろえておくと、評価のばらつきが小さくなるからです。
粒度が近い項目だけを並べると、担当者どうしの比較もできるようになります。

本記事の10項目を出発点にし、自社固有の要素を足してください。
基幹システムの運用や工場のネットワークなど、業種によって欠かせない項目があります。

項目数は、15前後に収めると運用しやすくなるでしょう。

ステップ3 現在地を評価する

3つ目は、担当者ごとに現在のレベルを記入する作業になります。

本人の記入だけで進めると、評価の基準が人によってずれるためです。
同じレベル3でも、指す状態が担当者ごとに変わってしまいます。

有効なのは、本人の自己評価と上長の評価を並べて記録する方法でしょう。
差が出た項目は、判断の根拠を確認する場を設けてください。

2つの評価がそろうと、育成の話し合いも具体的になります。

ステップ4 目標と期限を決める

最後に、目標のレベルと到達の期限を決めましょう。

目標のない一覧は、記録として残るだけになってしまうからです。
期限まで置くと、育成は日々の業務のなかに組み込まれます。

1人あたり1〜2項目に絞り、半期の期限を置きましょう。
「ネットワークをレベル2からレベル3へ、9月末までに」という粒度まで具体化してください。

期限が決まると、必要な学習時間も業務の割り振りも計算できます。

スキルマップの型

実際の形を、2名体制の例で示しましょう。

スキル項目必要レベルAさん 現在Aさん 目標Bさん 現在Bさん 目標
ITインフラの基礎知識33312
情報セキュリティ32311
IT資産とアカウント管理33323
業務システムとSaaS22212
自動化とデータ活用21211
ヒアリング力33323
課題解決力33323
マネジメント力21211
コミュニケーション力33333
説明力21211

表を見ると、情報セキュリティと自動化が組織全体の弱点だとわかります。
2項目は、育成と外部活用のどちらで埋めるかを決める対象になるでしょう。

個人の評価表として使うと、記入は甘くなりがちです。
組織の弱点を見つける道具として運用すると、正確な情報が集まります。

形骸化を防ぐ工夫

スキルマップは、作った後の運用で価値が決まるものです。

  • 更新の頻度を決める
    半期に1回など、見直す時期をあらかじめ予定に入れておきましょう。日常業務に追われると、更新は後回しになるものです。
  • 人事評価と切り離す
    査定に直結させると、記入が実態から離れてしまいます。用途を育成の計画づくりに限定してください。
  • 空欄の意味を決めておく
    担当していない領域と、担当しているが未着手の領域を区別します。区別できれば、次に手を打つ項目も選びやすくなるでしょう。

属人化した業務は、スキルマップにも現れます。
1人しか対応できない項目が見つかったら、手順書の作成から着手してください。

関連記事:情シス業務の属人化とは?原因とリスク、効果的な6つの解決策を紹介

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「スキルマップを作りたいが、項目の決め方がわからない」
「弱点は見えたものの、埋める手段を選びきれない」

スキルの整理は、他社の体制と照らすと判断が速くなります。
「IT顧問 情シス君」は250社以上の支援実績をもとに、業務の棚卸しからスキル項目の設計までお手伝いします。

専門のコンサルタントが現状の体制をヒアリングし、社内で育てる領域と外部に任せる領域の切り分けをご提案します。

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育成と外部活用のどちらで埋めるかを判断する材料としてご活用ください。

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スキルの伸ばし方

目標が決まったら、次は伸ばし方を決めましょう。
研修に通う時間を取りにくい場合でも、日常業務のなかで進められる方法があります。

習得の順番

複数の項目を同時に進めるより、順番を決めたほうが知識は定着しやすいでしょう。

推奨する順番は、業務で使う頻度が高い項目からです。
使う機会が多いほど、学んだ内容を試す場面もすぐに訪れます。

最初に着手したいのは、ITインフラの基礎知識とコミュニケーション力の2つでしょう。
次に情報セキュリティとIT資産の管理、ヒアリング力と課題解決力へ広げてください。
日常業務が安定してから、自動化やマネジメント、説明力に取りかかる流れが現実的です。

順番を決めておくと、学習の効果は業務にすぐ跳ね返ります。

日常業務での伸ばし方

スキルは、業務の進め方を少し変えるだけでも伸びるものです。

  • 対応の記録を残す
    問い合わせや障害の対応内容を、原因と処置まで書き残しましょう。記録が手順書の材料になり、説明の練習にもなります。
  • 振り返りの場を設ける
    障害が収束した後に、原因と再発防止策を15分でまとめてください。設計の意図を考える習慣が身につきます。
  • 一次情報にあたる
    ベンダーの説明だけでなく、公式のドキュメントを読む時間を取りましょう。仕様の根拠を確認する習慣が、判断の速さにつながります。

3つはいずれも、追加の予算を必要としません。
明日の業務から取り入れられる方法です。

情報収集の習慣

技術の移り変わりに追いつくには、情報が入る経路を決めておく必要があります。

必要になってから調べる進め方では、判断が後手に回るからです。
押さえておきたい経路は4つでしょう。

  • 利用中の製品とサービスの更新情報
    仕様変更やサポート終了は、告知の時点で把握しておきましょう。予定を先に押さえると、対応も分散できます。
  • 公的機関の注意喚起
    IPAが公表する脆弱性情報や注意喚起は、対応の優先順位を決める材料でしょう。月に一度は確認してください。
  • 同業の担当者との情報交換
    他社の運用は、自社だけでは得にくい判断材料です。勉強会やコミュニティで、実際の事例に触れる機会をつくりましょう。
  • 業界メディアと技術ブログ
    新しい製品や手法の全体像をつかむ用途に向いています。深追いせず、見出しを追う程度で十分でしょう。

集めた情報は、スキルマップの項目と結びつけて見ると使いやすくなります。
担当領域に関わる情報だけを追う形にすれば、時間の負担は小さく収まるでしょう。

学習リソースの選び方

社外のリソースを使う場合は、目的に合わせて選びましょう。

リソース向いている目的費用の目安注意点
公式ドキュメント仕様の正確な確認無料全体像をつかむ用途には向かない
ベンダーの技術研修導入予定の製品の習得数万円から製品固有の内容に偏る
資格の学習教材体系的な知識の整理数千円から実機での経験は別に必要
オンライン学習サービス幅広い領域の入門月額数千円受講の習慣づけが要る
情シス向けのコミュニティ他社の運用事例の収集無料から情報の鮮度と正確さは要確認

組み合わせると、弱点を互いに補えます。
体系は資格の教材で押さえ、実際の判断はコミュニティで確かめる進め方が効率的でしょう。

学習時間の確保

学習が続かない最大の要因は、時間の確保です。

問い合わせと障害対応は、都合を選ばずに発生します。
空いた時間に学ぶ計画は、成立しにくくなるものです。

有効なのは、週に2時間を予定として先に押さえる方法でしょう。
会議と同じ扱いにすると、割り込みも入りにくくなります。

チームで取り組む場合は、当番制で対応を引き受ける形も有効でしょう。
学習の時間を交代で確保すれば、全員が前に進めるはずです。

伸ばす方向の選び方

一定のレベルに届いたら、次はどの方向へ伸ばすかを選ぶ段階になります。

情シスのスキルは、広げる道と深める道に分かれるからです。
方向は大きく3つに整理できます。

方向重点的に伸ばすスキル向いている場面
技術特化型ITインフラ、情報セキュリティ、自動化をレベル4へ領域ごとに担当を分ける体制
統括型マネジメント、説明力、ヒアリングをレベル3以上へ部門としてIT投資を判断する立場
全体把握型10項目をレベル2〜3でそろえる1〜2名で全体を見る体制

3つに優劣はありません。
自社の体制と本人の志向に合う方向を選ぶと、学習の効果は業務に返ってくるはずです。


スキルと資格

スキルの習得を、資格で進める方法もあります。
資格は知識を体系的に整理でき、社内への説明にも使える点が利点でしょう。

資格一覧

情シスの業務に対応する資格を、一覧にまとめました。

資格対応するスキル想定レベル位置づけ
ITパスポート試験全般レベル1ITの全体像を把握する入口
情報セキュリティマネジメント試験情報セキュリティレベル1〜2組織面の対策を整理する
基本情報技術者試験技術系全般レベル2技術の基礎を体系化する
応用情報技術者試験技術系全般、マネジメントレベル2〜3設計と管理の視点を加える
ネットワークスペシャリスト試験ITインフラレベル3〜4回線と機器の設計まで踏み込む
情報処理安全確保支援士試験情報セキュリティレベル3〜4対策の設計と指導ができる水準
ITサービスマネージャ試験マネジメント、ITインフラレベル3運用サービスの設計と改善
シスコ技術者認定 CCNAITインフラレベル2〜3機器の設定を実機で扱う
AWS認定 ソリューションアーキテクト アソシエイトITインフラ、業務システムとSaaSレベル2〜3クラウド構成の設計を学ぶ
ITIL 4 ファンデーションマネジメントレベル1〜2運用の共通言語を身につける

情報処理技術者試験と情報処理安全確保支援士試験の名称は、独立行政法人情報処理推進機構の試験区分に沿っています(出典:IPA「試験区分一覧」)。

上から順に取得する必要はありません。
担当業務と重なる資格を1つ選ぶところから始めてください。

資格を選ぶ基準

資格を選ぶときは、3つの基準で判断しましょう。

  • いま担当している業務と重なるか
    学んだ内容をすぐ業務で使えると、知識は定着します。使う場面がない資格は、記憶からも抜けやすいものです。
  • 目標のレベルと段が合っているか
    レベル1の項目にいきなり高度試験を選ぶと、学習が長期化してしまいます。1段ずつ上げる選び方が確実でしょう。
  • 維持の負担に見合うか
    更新や講習が必要な資格もあります。継続の条件を事前に確認してください。

3つを満たす資格が見つかれば、学習は業務の延長として進められます。

取得を支える社内制度

責任者の立場では、個人の努力に任せない仕組みづくりも打ち手のひとつでしょう。

受験費用の補助と、合格時の一時金。
2つは多くの企業で導入されている制度です。

加えて、学習時間を業務時間として認める運用も効果があります。
費用より時間のほうが、担当者にとっては大きな制約になるためでしょう。

資格の取得状況をスキルマップと並べて管理すると、育成の進み具合も見えてきます。
制度と一覧をつなげておけば、投資の効果も説明しやすくなるはずです。


不足を埋める手段

スキルマップで弱点が見えたら、埋め方を決めましょう。
手段は育成だけではありません。
採用、ツールでの代替、外部の専門人材の活用を加えた4つから選べます。

手段の比較

4つの手段を、効果が出るまでの期間と費用の性質で比較しました。

手段効果が出るまで費用の性質向いている場面
育成半年から数年人件費と研修費中核業務で継続的に必要な領域
採用数か月から1年継続的な人件費恒常的に工数が足りない状態
ツールで代替数週間から数か月初期費用と月額手順が定まった作業
外部人材の活用数週間月額専門性が高く発生頻度の低い領域

表からわかるのは、効果が出るまでの期間に大きな差がある点です。
急いで埋めたい領域と、時間をかけて育てる領域を分けて考えましょう。

手段1 育成

1つ目は、いまいる担当者のスキルを引き上げる方法になります。

自社の事業や設備を理解した人材が伸びるため、成果は長く残るものです。

向いているのは、判断をともなう中核の業務でしょう。
IT戦略の立案やセキュリティ方針の決定は、社内で担い続ける領域になります。

時間はかかりますが、投資に見合う効果を長く受け取れるでしょう。

手段2 採用

2つ目は、必要なスキルを持つ人材を新たに迎える方法です。

ただし人材の獲得競争は激しい状況が続いています。

株式会社インターネットイニシアティブの調査では、情シス・DX部門の約8割が人材不足を認識しているという結果が出ました(出典:IIJ「情シス・DX部門の人材不足に関する調査」2025年6月)。
補充できない理由の最上位は「応募が少ない」で、約57%を占めています。

採用を選ぶ前に、求める人物像を10項目のスキルとレベルで具体化してください。
条件を具体化しておくと、選考の基準も面接での確認事項もはっきりするでしょう。

採用と並行して残り3つの手段も検討しておくと、体制づくりの選択肢は広がるはずです。

関連記事:IT人材不足の原因とは?現状と企業が取るべき6つの解決策を解説

手段3 ツールで代替

3つ目は、スキルの不足をツールで補う方法になります。

手順が定まった作業なら、人が覚えるより仕組みに任せたほうが速いからです。

たとえばIT資産管理ツールを入れると、台帳の更新作業が大きく減ります。
MDMを使えば、端末の設定も一括で配布できるでしょう。
導入の際は、運用の担当と手順を先に決めてください。

ツールは、担当者の時間を生み出す投資として位置づけられます。

手段4 外部人材の活用

4つ目は、外部の専門人材に業務の一部を任せる方法です。

効果が出るまでの期間が最も短く、専門性の高い領域をすぐ補えるためでしょう。

向いているのは、発生頻度が低く専門性が高い領域です。
脆弱性への対応やネットワーク機器の設計は、社内で常時抱えなくても成り立ちます。
問い合わせの一次対応やキッティングのように、手順を定義できる業務も任せられる範囲でしょう。

判断は社内に残し、実行の一部を外部に置く。
切り分けを決めておくと、社内には判断の知見が積み上がります。

関連記事:情シスアウトソーシング比較14選!代行・外注のメリットと選び方を徹底解説

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検討の初期段階でも問題ありません。
「IT顧問 情シス君」へお気軽にご相談ください。

情シス君は、ヘルプデスクや端末管理といった日常の運用から、ネットワーク保守やセキュリティ対策までご支援が可能です。
専門のコンサルタントが現状のスキルと体制をヒアリングし、社内で育てる領域と外部に任せる領域の切り分けからご提案します。

サービス資料では、支援できる領域ごとの対応内容と月額の考え方を確認できます。
育成と外部活用のどちらで埋めるかを比較する材料としてご活用ください。

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よくある質問

最後に、情シスのスキルについて寄せられることの多い質問をまとめました。

まず身につけるべきスキルはどれですか?

ITインフラの基礎知識とコミュニケーション力の2つです。
2つは担当した直後から使う場面が訪れ、ほかのスキルを伸ばす土台にもなります。
問い合わせの内容を切り分けて答えられる状態まで来たら、情報セキュリティへ広げてください。

異動してきた担当者は何から始めますか?

社内で使っている機器とシステムの一覧づくりから始めましょう。
構成を把握しないまま個別の技術を学んでも、業務には結びつきにくいものです。
一覧が埋まると、優先して学ぶ領域も自然に見えてきます。

情シスに向いている人の特徴は?

一つに絞るなら、原因を順番に確かめられる人でしょう。
技術への興味より、詰まった場面で手順を踏み直せる姿勢が成果につながります。
加えて、社内の相談を業務の言葉で受け止められる姿勢も強みになるはずです。

プログラミングのスキルは必要ですか?

開発者と同じ水準までは求められません。
ただし定型作業を減らす場面では、スクリプトを読み書きできると効果が大きくなります。
PowerShellやGoogle Apps Scriptのように、社内環境で使える範囲から始めてください。

1〜2名の体制ではどこまで必要ですか?

10項目のうち、ITインフラとIT資産の管理をレベル3、残りをレベル1〜2に置く形が現実的でしょう。
すべてを高いレベルでそろえる前提を外すと、計画は立てやすくなります。
深い専門性が要る領域は、外部と組む選択肢も検討してみてください。

スキルマップは何項目が適切ですか?

15前後が扱いやすい範囲です。
項目を細かくするほど正確になる一方、更新の手間は増えていきます。
まずは本記事の10項目に自社固有の要素を足し、運用しながら調整しましょう。

スキル不足を経営層にどう説明しますか?

スキルマップで組織の弱点を示し、放置した場合の影響を添えてください。
「情報セキュリティがレベル1のため、インシデント時の初動を外部に頼る状態」といった書き方が伝わります。
数字と具体的な場面をそろえると、育成や外部活用の予算も通りやすくなるでしょう。


まとめ|スキルはレベルで捉える

本記事では、情シスに必要な10のスキルとレベルの定義を解説しました。
要点を振り返ります。

  • 10のスキル:技術系5つとビジネス系5つ。担当業務との対応で優先度が決まる
  • 4段階のレベル:知っている・できる・任せられる・設計できる
  • 業務別の必要レベル:多くの業務はレベル3で回り、レベル4は標準を作る立場に必要
  • スキルマップ:業務の洗い出しから始め、目標レベルと期限まで決める
  • 不足の埋め方:育成・採用・ツール・外部活用の4つから場面で選ぶ

スキルを一覧で眺めている段階では、次の一手は決まりません。
レベルで捉え直すと、伸ばす項目も外部に任せる領域も具体的に決められます。

まずは自社の業務を書き出し、10項目に現在のレベルを記入するところから始めてみてください。
1枚の表が、育成計画と体制づくりの出発点になるはずです。

情シスの体制づくりは「情シス君」へ
スキルの棚卸しから日常業務の代行までご支援します

スキルマップの作成や不足領域の見極めは、外部の視点を入れると進めやすくなります。

「IT顧問 情シス君」は、株式会社デジタルハックが提供する総合IT支援サービスです。
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自社で育てる領域と外部に任せる領域を決める材料としてご活用ください。

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監修者:
デジタルハック 情シス総研
情シスリサーチアナリスト 伊藤俊介

伊藤俊介
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